羽毛布団の寿命は10年~20年!買い替えの判断ポイントと30年以上使う方法を解説

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羽毛布団の寿命が気になり始めたあなたは、このようなことが気になっているのではないでしょうか。
「前よりも温かさが無くなってきた気がする」
「ふっくらとしていたボリュームがなくなってきた」

一般的に、羽毛布団の寿命は10年~20年程度といわれています。しかしこれはあくまで目安であり、条件が揃えば30年以上もつ羽毛布団もあります。環境に配慮する視点からも、良い羽毛布団をできるだけ長く使い続けたいですね。

今あなたが使っている羽毛布団が寿命を迎えているかどうかは、個別の布団の状態を確かめなければ分かりません。具体的には、以下の5つのポイントを確認して判断する必要があります。

羽毛布団寿命チェック表

この記事では、羽毛布団の寿命を左右する5つのポイントや、羽毛布団の寿命を迎えた場合の選択肢、なるべく羽毛布団を長く使い続けるコツ、そして買い替える場合の「寿命の長い羽毛布団の条件」まで詳しく解説していきます。

羽毛布団が寿命を迎えているのか判断したい方や、なるべく長く羽毛布団を使いたいと考えている方は、ぜひ最後までお読みください。

目次

1. 羽毛布団の寿命は10年~20年(条件次第で30年以上)

※使用者や業者によって寿命の定義はさまざまですが、この記事では、以下のように定義します。

羽毛布団の寿命とは、洗ってもふくらみが回復せず、湿気を吸ってずっしり重くなってしまったなど、本来の羽毛布団の軽さと温かさを発揮できなくなった時のこと。

羽毛布団の寿命は、おおむね10年〜20年程度といわれています。

ただしこれはあくまで目安に過ぎません。 羽毛布団の品質や使われ方などによって、それよりも短くなることも長くなることもあるからです。

羽毛布団の寿命判定

羽毛布団の寿命を決めるポイントは、①使われている羽毛(水鳥)の種類、②キルトの状態、③側生地の耐久性、④使われ方、⑤環境の5つとなります。さらに詳しく見ていきましょう。

1-1.  羽毛(水鳥)の種類によって寿命は変わる

羽毛布団に使われている羽毛の種類によって、羽毛布団の寿命は変わります。なぜならば、羽毛の種類(水鳥の種類)によって羽毛の耐久性は異なり、羽毛自体の寿命が異なるからです。

一般的には、羽毛の耐久性が高いものから順に、アイダーダック、マザーグース(ガチョウの親鳥)、グース(ガチョウ)、ダック(アヒル)となります。

羽毛の種類

耐久性が高い羽毛は、形が大きくしっかりしていて暖かい空気を含みやすいため、へたりにくい特徴があります。

1-2. 側生地のキルトの状態によって寿命は変わる

キルトとは、羽毛布団の側生地(外側の生地のこと)のマスを区切る縫い方のことです。

品質の良い羽毛布団は、キルトをしっかり区切ってダウンが1箇所に偏らないように作られています。そうすることで耐久性が上がり、結果的に羽毛布団の寿命が長くなります。

1-3. 側生地の種類によって寿命は変わる

側生地(羽毛布団の外側の生地)によっても、羽毛布団の寿命は変わります。

耐久性

側生地の種類

高い

綿(繊維が細かいものがベスト)

低い

ポリエステル(吸水性・吸湿性が低い)
シルク(寝心地は良いが耐久性は低い)

耐久性のある生地を使っているほうが、羽毛自体が劣化しづらいため長持ちします。一方、シルクなどは寝心地は良い一方で耐久性はいまいちです。高級な羽毛布団の場合、耐久性よりも寝心地を優先させているケースもあります。

1-4. 使われ方(頻度・扱い方・メンテナンス)で寿命は変わる

どんなに高品質な羽毛布団を使っていても、その使われ方によって寿命は変わります。例えば、使われる頻度、扱い方、メンテナンス方法によって、寿命は長くなったり短くなったりします。

使われる頻度

使われる頻度が少ないほうが、寿命は長くなる。

扱い方

丁寧に扱うほうが、寿命は長くなる。
逆に、干すときに叩いたり雑に扱ったりすると寿命は短くなる。

メンテナンス

適切にメンテナンスすれば寿命は長くなる。
(例えば、高品質の羽毛布団を打ち直し/打ち直ししながら使えば30年以上使えることも)
逆に、全く洗わない、洗い方が間違っていると寿命は短くなる

1-5. 環境(部屋・使う人の特性)によって寿命は変わる

使われる環境によっても、羽毛布団の寿命は変わります。

住んでいる地域
部屋の環境

乾燥している地域や乾燥している部屋で使うほうが、長持ちしやすく寿命は長くなる。
湿気が多い地域・湿気がこもりやすい部屋だと劣化が早い。

汗やおねしょ、飲みこぼしなど

汗の量が多い場合や、おねしょ・飲みこぼしなどがあると、羽毛布団に湿気がこもりやすくなる。
においが残る原因にもなり劣化が早くなる。
また、雑菌が繁殖することにより羽毛布団の寿命が短くなる。

2. 羽毛布団の寿命を判断する5つのチェックポイント

1章で解説した通り、羽毛布団の寿命は、品質や使われ方、環境によってかなり違ってきます。そのため、一概に「10年経ったからそろそろ寿命」ということはありません。

自分が使っている羽毛布団は「寿命を迎えているか」を個別に判断する必要があります。

羽毛布団寿命チェック表

5つのポイントで1つでもチェックが入る場合、残念ながら寿命を迎えている可能性があります。

2-1. ふくらみがなくなった(乾燥させても戻らない)

判断ポイント

  • 羽毛布団のふくらみ(厚さ)が購入当初の3分の2程度になった
  • 乾燥させてもふくらみが回復しない
  • ダウンの偏りがひどく膨らみが出ないマス目がある

羽毛布団は、羽毛の一つ一つの間に空気が入り込み、ふっくらとしている特徴があります。汗や湿気を含むとペタっとふくらみが無い状態になりますが、中のダウンボールがしっかりしていれば、乾燥させることで元通りになります。

しかし、乾燥させても元通りのふっくらな状態に戻らない場合は、寿命を迎えている可能性があります。汗やその他の汚れが蓄積されると、羽毛布団の中にあるダウンボールが損傷し、乾燥させてもボリューム感が復活しなくなるのです。

明確な基準はありませんが、羽毛布団のふくらみ(厚み)が購入当初の3分の2程度に減少した場合は、寿命を迎えていると判断すると良いでしょう。

また、ダウンの偏りがひどく膨らみが出ないマス目がある場合も、買い替えや打ち直しを検討してみても良いかもしれません。

2-2. 湿気を吸ってずっしりと重く感じる

判断ポイント

  • 羽毛布団が以前よりも「なんだか重くなった」と感じる
  • 重さで寝苦しさを感じるようになった
  • 羽毛布団の中身が固く重くなったように感じる

羽毛布団が湿気を吸ってずっしりと重く感じるようになった場合も、寿命を迎えている可能性が高いでしょう。

「ふわふわで軽い」のが羽毛布団の特徴ですが、ずっしり重く感じる場合、「放湿性」を失っていると考えられるからです。放湿性とは、吸収した水分を放出する性能のことです。汗や皮脂、その他の汚れが羽毛布団に蓄積されると、放湿性が失われます。

放湿性が失われると羽毛布団内部に湿気が溜まってしまうため、ずっしりと重く感じるようになります。「以前より重みを感じるようになった」「布団の中身が固くなったように感じる」などの場合は、残念ながら寿命を迎えている可能性が高いといえます。

2-3. 羽毛が出てくるようになった

判断ポイント

  • 大きな穴などは無いが、羽毛布団から中の羽毛が出てくるようになった
  • 穴や裂け目ができてしまい、羽毛が出てくるようになった

羽毛布団から、中の羽毛が頻繁に出てくるようになった場合も、残念ながら寿命といえるでしょう。羽毛が出てくる原因は、ダウンプルーフ加工(目詰め加工)の劣化、または生地に穴があいていることです。

ダウンプルーフ加工(目詰め加工)とは、羽毛が出てこないように施された加工のことです。ローラーでプレスして生地の目地をつぶしたり、樹脂コーティングで目地をふさいだりすることで、布団の外に羽毛が出るのを防いでいます。

「羽毛布団は家庭で洗濯しない方がよい」といわれる理由は、洗い方によってはダウンプルーフ加工が剥がれてしまう可能性があったり、適切な乾燥ができなかったりするためです。何度も洗濯してしまうことでダウンプルーフ加工の劣化が早まることも懸念されます。

また、ダウンプルーフ加工は劣化していなくても、何らかの理由で生地に穴があいたり裂け目ができていたりすると、そこから羽毛が飛び出してくることがあります。穴が小さい場合には、市販の補修シートや補修布を活用し、家庭でも一時的に対処することはできるかもしれません。ただし、穴が大きかったり穴を特定するのが難しい場合は、専門業者に修繕を依頼する必要がありますし、そもそも寿命と判断したほうが良いかもしれません。

布団の内部に羽毛をとどめておけなければ羽毛布団としての役割を終えてしまっているため、買い替えなどを検討すべきタイミングと言えるでしょう。

2-4. 暖かみを感じなくなった(保温性が低くなった)

判断ポイント

  • 以前と比べて、暖かさが失われている気がする

保温性が高い羽毛布団は、軽くて暖かいのが特徴です。しかし、以前ほど暖かさを感じなくなった場合、寿命を迎えている可能性があります。

そもそも羽毛布団が暖かいのは、羽毛が1つ1つしっかりと立っていて、空気を溜め込んでくれるからです。羽毛布団を使い続けると、羽毛がへたってきて空気を溜め込むことができなくなることで、保温性が失われてしまうのです。

暖かさ(保温性)が失われたと感じた場合は、買い替えや打ち直しのタイミングが来ていると判断すると良いでしょう。

2-5. 嫌なにおいがする

判断ポイント

  • 羽毛布団から嫌なにおいがする
  • 洗ってもにおいが取れない

皮脂や汗のにおいや、その他(こぼしてしまった飲食物など)を長い間放置していると、においが羽毛布団に染み付いてしまうことがあります。

ほとんどの場合は専門業者等に洗濯を依頼することでにおいも取れるはずですが、もし洗ってもにおいが取れない場合、羽毛布団の寿命かもしれません。嫌なにおいを放置したまま使い続けても、良い睡眠を得ることができないでしょう。

3. 羽毛布団が寿命を迎えた場合の選択肢

2章で解説した「羽毛布団の寿命を判断する5つのチェックポイント」で、1つでもチェックが入った場合は、残念ながら寿命を迎えている可能性が高いといえます。

羽毛布団寿命チェック表

あなたの場合はどうでしたか?

ここからは、羽毛布団の寿命を判断した後の行動について詳しく解説していきます。

❶まだ寿命を迎えていない場合
4. 羽毛布団の寿命を長くするための8つのポイント」を参考にしつつ、大切に使ってください。

❷寿命を迎えている場合【その1】
高品質で大切な羽毛布団なら、打ち直しを検討してみましょう。

❸寿命を迎えている場合【その2】
リーズナブルな羽毛布団なら、買い替えがおすすめです。
5. 買い替えなら【寿命が長い高品質な羽毛布団】を選ぼう」を参考にしてください。

3-1. まだ寿命を迎えてないなら:寿命まで大切に使おう

2章のチェックリストに照らし合わせてみて、まだ寿命を迎えてない場合は、寿命を迎えるその時まで大切に使い続けてください。

なお、少しでも寿命までの時間を伸ばしたいという方に向けて「4. 羽毛布団の寿命を長くするための8つのポイント」を用意しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

3-2. 寿命を迎えている場合の選択肢①:打ち直しする

羽毛布団が寿命を迎えた場合のスタンダードな選択肢は「買い替え」だと思いますが、その前に「打ち直し」するという選択肢もあります。
※「打ち直し」を意味する言葉はさまざまで、サービスによって「リフレッシュ「リフォーム」「再生加工」「リメイク」と呼ばれることもあります。

買い替えか打ち直しか迷う場合は、羽毛布団のダウン率(ダウンとフェザーの割合)を確認しましょう。ダウン率が80%以上なら打ち直しして長く使う経済的なメリットがあるといえます。逆に80%を下回る場合は、打ち直しが困難な場合もありますので買い替えを検討してみましょう。

羽毛布団の「打ち直し」は、使用済みの羽毛布団を新品のような状態に再生することをいいます。提供サービスによって詳しい内容は異なりますが、例えば、以下のような工程で新品同様に生まれ変わらせることができます。

  • 羽毛布団から羽毛を取り出して、羽毛のゴミを落とし、丸洗いする(傷んでいる羽毛は取り除く)
  • 乾燥させた後で「足し羽毛(羽毛が足りない場合に新しい羽毛を充填する)」を行う
  • 新しい側生地に羽毛を入れて仕上げる

特に、打ち直しを行うと洗浄だけでなく、「足し羽毛」を行ってもらえる場合があるのは魅力です。こうすることで新品同様になって愛着のある羽毛布団を長く使うことができます。羽毛布団は、生き物の羽を使っていることからも、長く使い続けることは環境に配慮する観点でも望ましいことです。特に、高価な価格帯の羽毛布団や高品質な羽毛布団を使っている場合には、ぜひ買い替え前に一度検討してみてほしい選択肢です。

打ち直しにかかる日数は10日から1カ月前後で、料金は3万円〜5万円程度が一般的です。ただし料金は、工程内容や新しい側生地の品質や羽毛の品質、新たに充填する量などによって価格が変わるため一概には言えません。

羽毛布団の打ち直しを検討する方へ「富士山系の天然水を使った、最高品質の打ち直しサービス」

羽毛布団の打ち直しを検討する方に向けて、日本羽毛製品共同組合が打ち直しに関する設備や方法を立ち入り調査し、基準を満たしたリフォーム工場にだけ「リフォームラベル」を発行する認定制度をもうけています。

中でも、布団を解体し、中の羽毛を”個別に”専門の洗浄機で水洗いし、羽毛の汚れを取り除き必要に応じて「足し羽毛」した上で新しい側生地で仕立て直す…、という複雑な工程で行われる打ち直しサービスだけがプレミアムダウンウォッシュ仕上げに認定されています。

3-3. 寿命を迎えている場合の選択肢②:新しい布団に買い替える

寿命を迎えている場合のもう一つの選択肢は、新しい布団に買い換えることです。先に紹介した打ち直しよりもスタンダードな方法でしょう。

特に、リーズナブルな羽毛布団を使っていた場合は打ち直しが困難な場合もあるため買い替えをおすすめします。できるだけ長く使い続けることが望ましい羽毛布団ですが、ダウン率が低いリーズナブルな羽毛布団を使っていた場合や、生活が大きく変わる場合など、買い替えを検討した方が良い場合もあります。

なお、新しい布団に買い換える際には、「できるだけ寿命が長い羽毛布団を選ぶこと」「できるだけ寿命を長くするためのポイントを守って使うこと」を意識するのがおすすめです。

買い替えにおすすめな羽毛布団を知りたい方は、後述の「5. 買い替えなら【寿命が長い高品質な羽毛布団】を選ぼう」をぜひ参考にしてください。

4. 羽毛布団の寿命を長くするための8つのポイント

ここからは、羽毛布団の寿命をできるだけ長くするためのポイントについて解説していきます。

羽毛布団の寿命を長くする8つのポイント

選び方

寿命が長い羽毛布団を選ぶ

使い方

布団カバーを付けてこまめに取り換える

使い方

布団カバーで防げない水分はしっかり対策する

使い方

羽毛布団は丁寧に扱う(乱暴に扱わない)

使い方

季節ごとに適切な羽毛布団を使い分ける

メンテナンス

2週間~1ヶ月に1回程度はしっかり干して乾燥させる

メンテナンス

5年に1回程度は専門店で丸洗いする

メンテナンス

10年~15年程度で打ち直しをする

今回の寿命チェックで「まだ使えそう」と判断した方も、「寿命を迎えているから打ち直しまたは買い替えを行う」という方もぜひ参考にしてください。

4-1.【選び方】寿命が長い羽毛布団を選ぶ

1章で解説した通り、羽毛の種類(水鳥の種類)や側生地の素材によって、そもそもの羽毛布団の寿命は変わります。いくら丁寧に扱っていても、環境を整えても、耐久性の低い羽毛や側生地を使っていれば寿命を伸ばすことはできません。

寿命が長い羽毛布団の条件

  • アイダーダックダウンやマザーグースダウンなど、耐久性が高い水鳥の羽毛を使っている
  • スモールフェザーや未熟ダウンが取り除かれている
  • 耐久性の高い側生地(綿100%で繊維が細かいものなど)が使われている
  • ダウンが偏らないような、しっかりとしたキルト(縫い方)がされている

一般的な寿命よりも長く、30年以上羽毛布団を使いたい場合には、できるだけ高品質で寿命が長い羽毛布団を選ぶのが大前提となります。

また、ダウン率80%以上など高品質な羽毛布団を買っておけば、打ち直しをしてさらに寿命を伸ばすこともできます。打ち直しをするかどうかの基準の一つが「ダウン率80%以上のものが目安」となるので、打ち直しをしてずっと使いたい場合には参考にしてください。

4-2.【使い方】布団カバーを付けてこまめに取り換える

羽毛布団はそのまま使用せず、布団カバーをつけて使用しましょう。

布団カバーをつけることで、羽毛布団が直接汗や皮脂、おねしょなどを吸い取ってしまうことを防ぐことができ、羽毛布団の寿命を縮める原因を取り除けます。さらに、摩擦によるダメージも減少させることができます。

布団カバーが汚れたら布団カバーだけを洗って取り替えれば、清潔さを保つことができます。羽毛布団を洗う(クリーニングに出す)回数を減らすことで、羽毛布団の寿命を長持ちさせやすくなるでしょう。

4-3.【使い方】布団カバーで防げない水分はしっかり対策する

羽毛布団が綿の布団と異なる特徴は、湿気を吸ってもその水分を自己蒸発できる点です。そのため、まめに布団を干したりちょっとズボラな方にも羽毛布団は向いています。

ただ、通常の汗ならば布団カバーで対策できますが、例えば「おねしょ」や排泄物などは布団カバーでも防ぎきれないでしょう。この場合は、おむつや防水シーツなどを活用し、羽毛布団の内部にまで水分や汚れが入らないようにしましょう。

4-4.【使い方】羽毛布団は丁寧に扱う(乱暴に扱わない)

羽毛布団は乱暴に扱うと寿命を縮めてしまいます。必ず丁寧に、大切に扱いましょう。

丁寧に扱うポイント

  • 圧力をかけて、羽毛の形を潰してしまわないようにすること

  • 摩擦などで側生地を傷めないようにすること

例えば、布団の中の羽毛を潰してしまう可能性があるため、布団を干すときにパンパン叩くのはやめましょう。また、布団を圧縮して強い負荷をかけたり、上に大きな重いものをのせて偏りができるように強く折り曲げたりするのも避けると良いでしょう。

メンテナンスとしては例えば、朝起きた時に半分に軽く折り畳むと、空気に接する面ができてふんわり感が続きます。日々折り返す面をかえるのがおすすめです。

4-5.【使い方】季節ごとに適切な羽毛布団を使い分ける

季節によって適切な羽毛布団を使い分けることも、寿命を伸ばすポイントです。冬用の保温性が高く暖かい羽毛布団を夏にも使ってしまうと、汗量が増えて羽毛布団を傷める原因になりかねません。

住んでいる地域や使う人の体質にも寄りますが、以下の種類を使い分けるのがおすすめです。

種類

詳細

時期

本掛け

羽毛充填量が1.0kg~1.5kg(シングルサイズのとき)

秋冬の寒い時期

合掛け

羽毛充填量が0.6kg~1.0kg(シングルサイズのとき)

春秋の寒い時期

肌掛け

羽毛充填量が0.3kg〜0.4kg(シングルサイズのとき)

夏の暑い時期

4-6.【メンテナンス】2週間~1ヶ月に1回程度はしっかり干して乾燥させる

羽毛布団は、2週間~1ヶ月に1回程度はしっかりと乾燥させましょう。

おすすめは、天気が良く、カラッとした湿度が少ない日に、2~3時間程度陰干しすることです。布団カバーをしたまま干すことで、痛みを軽減させることが可能です。布団乾燥機を使う場合は、乾燥させ過ぎに注意して下さい。

天日干しをするのはどうでしょうか。結論から言うとNGではありません。ただし、日差しで生地の劣化が起こる可能性がありますので、陰干しでも十分にケアが可能です。

なお、羽毛布団を高温の乾燥機にかけてしまうと羽毛を傷めてしまいかねません。どうしても干すのが難しく乾燥機を使いたい場合は、コインランドリーの「羽毛布団コース」を利用しましょう。

4-7.【メンテナンス】5年に1回程度は専門店で丸洗いする

「羽毛布団は洗わないほうが長持ちする」と聞いたことがある方も多いでしょう。一方で、最近では「洗える羽毛布団」を出しているメーカーもあります。

結論からいうと、やはり、羽毛布団は基本的に過度に洗わない方が良いです。特に、ご家庭で洗うことはおすすめしません。洗っては行けない理由は、乾燥させるのが難しいから、そして側生地や加工などを傷めてしまうからです。

ただし、羽毛布団を大切に長く使う上では適切に洗うことが望ましいです。。そこでおすすめは、5年に1回程度、専門店で丸洗いすることです。寝具店やクリーニング店で「布団の丸洗いクリーニングサービス」を依頼しましょう。

4-8.【メンテナンス】10年~15年程度で打ち直しをする

高品質な羽毛布団を「一生もの」として使うためには、寿命のサイン(膨らみが減った・重くなったなど)があったタイミングで打ち直しを行いましょう。打ち直しの目安は、10年~15年程度が最適です。

布団専門店の考え方や立場によっては、「打ち直しは一度しかできない」と言う方もいます。しかし、羽毛自体は何十年も持つ素材と言われています。そのため使用年数が長く、羽毛布団の生地が汚れたり破れたりしてしまっている場合でも、品質の高い羽毛布団なら、中の羽毛自体はまだまだご使用いただけるケースが多いです。検討される方は一度打ち直しサービスのお問い合わせをしてみることをおすすめします。

5. 買い替えなら【寿命が長い高品質な羽毛布団】を選ぼう

最後に、羽毛布団が寿命を迎えて買い替える場合のおすすめの羽毛布団を紹介します。

新しく羽毛布団を買い替えるなら、あらかじめ寿命が長い高品質な羽毛布団を選ぶのがおすすめです。その条件として、以下の5つを確認してみましょう。

寿命が長い羽毛布団の条件

❶羽毛の種類:耐久性が高いマザーグース(ダウン率93%以上)

❷ダウンパワー:400dp以上

❸側生地:綿100%(超長綿)のもの

❹キルト:キルト同士を完全に区切った「完全立体キルト」がおすすめ

❺縫製:信頼できる日本製を選ぶ

5-1. 羽毛:マザーグース(ダウン率93%以上)

1章で解説した通り、羽毛布団に使われている羽毛の種類によって、羽毛布団の耐久性が変わります。そのため、寿命が長い羽毛布団を選びたいなら、マザーグースを選びましょう。

羽毛の種類

ダウン率(ダウンとフェザーの割合)は、ダウン率93%以上を目安に選ぶと良いでしょう。ちょうど、日本羽毛製品協同組合が定めている品質推奨ラベルで、最高ランクである「プレミアムゴールド」ラベルがダウン率93%となっています。

5-2. ダウンパワー:400dp以上

ダウンパワーとは、羽毛にどのくらい弾力性(膨らむ力)があるかを表す指標です。ダウンパワーが大きいほど、羽毛の間に多くの空気を取り込み、体積が大きくふっくらとした羽毛布団となります。

また、ダウンパワーが大きいほどヘタりにくいため、寿命が長くなります。

高級羽毛布団の目安としてはダウンパワー400dp以上が一定の基準となります。寿命が長い羽毛布団という観点でも、ダウンパワー400dp以上をおすすめします。

なお、日本羽毛製品協同組合が定めている品質推奨ラベルで、最高ランクである「プレミアムゴールド」ラベルはダウンパワー440dp以上、セカンドランクの「ロイヤルゴールドラベル」はダウンパワー400dp以上とされています。

5-3. 側生地:綿100%(超長綿)のもの

せっかく耐久性の高い羽毛を選んでも、側生地の耐久性が低ければ羽毛布団の寿命も短くなってしまいます。寿命の長さを考えた場合に最適な側生地は、綿100%(超長綿)です。

 

超長綿とは、繊維の長さが35mm以上ととても長い綿で、希少性の高い綿です。細くしなやかな糸を紡ぐことができるため、上質かつ強度が高いメリットがあります。超長綿には「番手」という糸の太さの基準があるのですが、軽さにもこだわるなら100番手以上がおすすめです。

5-4. キルト:「完全立体キルト」がおすすめ

キルト(キルティング)とは、羽毛布団の生地を縫う技術のことです。キルトの違いによって、保温性やフィット感に差が表れるだけでなく、羽毛の偏りを防げるため耐久性にも差が出ます。

キルトを耐久性の面から見ると、完全立体キルトが最もおすすめです。完全立体キルトは、特殊な縫製方法により羽毛の吹き込み口を完全に塞いでいるため、羽毛が片寄りにくいのが特徴です。ただし、手間とコストがかなりかかるため、羽毛布団のお値段は高くなります。

5-5. 縫製:信頼できる日本製を選ぶ

耐久性が高く寿命の長い羽毛布団を選ぶためには、信頼できる生産者を選ぶことも大切です。なお、水鳥の飼育は日本で行っていないため、羽毛の生産地は海外です。こだわりたいのは、羽毛を詰めて生地を縫製するのが日本製かどうかです。

日本製にこだわって羽毛布団を探している方も多いと思いますが、「日本製」を謳っていても一部の工程を海外で行っているケースもあります。国内で縫製を行い、国内で羽毛の充填を行っている「純国産」羽毛布団が安心です。

高品質な羽毛布団なら「MADE IN 都留 のふとん」という選択肢を

日本のどの地域で羽毛布団が多く作られているか意識したことがある方は少ないかもしれません。実は山梨県都留市は、日本でもトップクラスのふとん出荷量を誇る「ふとんの街」です。

都留市の羽毛布団は、ふるさと納税の返礼品としても高い人気を得ています。都留市の羽毛布団が気になる方は、ぜひ返礼品を受け取ってみませんか?

まとめ

この記事では、羽毛布団の寿命にまつわるさまざまな情報を解説してきました。最後にこの記事のまとめを簡単に振り返ってみましょう。

羽毛布団の寿命は10年~20年(ただし30年以上もつ羽毛布団も)

①使われている羽毛(水鳥)の種類、②キルトの状態、③側生地の耐久性、④使われ方(頻度・扱い方・メンテナンス)、⑤環境(部屋の環境・使う人の特性)によって、寿命は長くなったり短くなったりすることを解説しました。

羽毛布団の寿命を判断する5つのチェックポイント

寿命を判断するチェックポイント5つについて、詳しく解説しました。

羽毛布団寿命チェック表

5つをチェックしてみて、1つもチェックが入らなければまだ寿命を迎えていないと判断できます。ただ、1つでもチェックが入っている場合は残念ながら寿命を迎えている可能性が高いといえます。

買い替える場合には、以下の5点の条件にこだわって選ぶと、できるだけ寿命の長い羽毛布団を選ぶことができます。

❶羽毛の種類:耐久性が高いマザーグース(ダウン率93%以上)
❷ダウンパワー:400dp以上
❸側生地:綿100%(超長綿)のもの
❹キルト:キルト同士を完全に区切った「完全立体キルト」がおすすめ
❺縫製:信頼できる日本製を選ぶ

寿命を迎えている場合も迎えていない場合も、ぜひこの記事で解説した「なるべく寿命を長く使う方法」を意識してみてください。

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