「寝ても疲れ取れない……」
「しっかり寝たはずなのに、体が重い」
こういった感覚に悩まされている方は、少なくないでしょう。
その原因として、以下が考えられます。
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この記事では、上記の原因を掘り下げて解説したうえで、疲労回復できる睡眠の方法を具体的に解説します。
寝ても疲れが取れない状況は、とてもつらいものです。本記事の対処法を、健康な体と心で毎日を充実させるために、お役立てください。
1. 寝ても疲れ取れないのはなぜ?9つの原因
さっそくですが、冒頭で触れた9つの原因について、詳しく見ていきましょう。
1-1. より長時間の睡眠を必要としている
1つめの原因は「より長時間の睡眠を必要としている」です。
人間に必要な睡眠時間は、個々人で異なります。
一般的には成人で7〜9時間が推奨されていますが、なかには10時間以上必要とする人もいます。これは生物学的な違いによるものです。
たとえば、Aさんは6時間の睡眠で十分なのに対し、Bさんは10時間の睡眠を必要とするかもしれません。
自分が長い睡眠時間を必要とするタイプの場合、一般的に見て十分な睡眠時間を確保していても疲労感が残ることがあります。
自分がどの程度の睡眠を必要とするのか、自分の「睡眠ニーズ」を理解することが重要です。
1-2. 実際の睡眠時間が思っているよりも短い
2つめの原因は「実際の睡眠時間が思っているよりも短い」です。
通常、睡眠時間を計算するときには、就寝時刻から起床時刻までの時間を計算することが多いでしょう。
たとえば、22時に就寝して翌朝6時に目覚めたら「8時間寝た」という具合です。
しかしながら、“実際の睡眠時間”は、それよりも短いケースが多く見られます。
以下は、「床上時間(寝床に入っている時間)」と実質的な「睡眠時間」の年齢による変化を表したグラフです。
〈活動量計などで測定される客観的な睡眠時間は、主観的な睡眠時間よりも1時間程度短いことが知られています〉
と記載されているとおり、自分では「寝た」と思っていても十分に寝ていないケースが考えられます。
1-3. 過去の睡眠不足が蓄積されている
3つめの原因は「過去の睡眠不足が蓄積されている」です。
睡眠不足が蓄積されると、「睡眠負債」という状態になります。
睡眠負債とは、“一晩で2時間睡眠時間が足りなかったとすると、その2時間が負債として蓄積される”という考え方です。
睡眠負債が蓄積されると、一晩しっかり寝ても、疲労感が残ることがあります。
たとえば、平日に睡眠負債が蓄積している場合、休日に長く眠る「寝だめ」をしても、疲れが取れないのです。
1-4. 生体リズムが乱れている
4つめの原因は「生体リズムが乱れている」です。
生体リズムとは、すべての生物が持っている生物現象の周期的な変化のことですが、「体内時計」に関わっているため、睡眠にとって重要です。
とくに、夜型の生活やシフト勤務などで生体リズムが乱れやすい人は注意が必要です。
生体リズムの乱れは、睡眠サイクルに深刻な影響を及ぼします。セロトニンやメラトニンなど、眠気や覚醒に関わるホルモンの分泌が、不規則になるためです。
【関係するホルモンの例】
・メラトニン:体内時計と深く関わるホルモンです。日が暮れると分泌が増え、眠気を引き起こします。生体リズムが乱れると分泌パターンが乱れ、疲れが取れにくくなります。 ・セロトニン:気分や睡眠に関与するホルモンです。日中に適量が分泌されます。その一部が夜間のメラトニンに変換されますが、リズムが乱れるとバランスが崩れます。 ・コルチゾール:ストレスホルモンとして知られるコルチゾールは、生体リズムの乱れにより、分泌のタイミングが狂います。通常は覚醒時間に合わせて分泌が増えますが、生体リズムが乱れるとパターンが変化し、疲労回復に影響を与えます。 ・成長ホルモン:おもに睡眠中に分泌され、体の修復や成長に関わります。生体リズムが乱れると分泌が適切に行われず、疲労感の継続につながることがあります。 ・オレキシン:覚醒を維持する役割があります。乱れた生体リズムはオレキシンの分泌に影響を与え、日中の眠気や夜間の不眠につながります。 ・アデノシン:活動することで蓄積され、眠気を誘発します。生体リズムの乱れると適切に消費されず、常に疲労感を覚える原因になります。 |
1-5. 眠りが浅い
5つめの原因は「眠りが浅い」です。
さまざまな要因から眠りが浅くなると、睡眠中の疲労回復が十分に行えなくなります。
眠りが浅くなる原因は多岐にわたりますが、以下に主要なものをリストアップしました。
・過剰なカフェイン:カフェインは覚醒作用を持ち、過剰に摂取すると睡眠の質を下げることが知られています。 ・アルコール摂取:アルコールは一時的に眠気を誘いますが、その後、中途覚醒を引き起こします。 ・タバコ:ニコチンは刺激物であり、睡眠の深度に影響を与えます。 ・寝る前の食事:とくに重い食事は消化に時間がかかり、睡眠を妨げることがあります。 ・精神的なストレス:心配事やストレスがあると、睡眠が不安定になることがあります。 ・物理的な不快感:寝具の問題、部屋の温度、騒音など、物理的・身体的な不快感は睡眠の質に影響を与えます。 |
1-6. 適切な栄養が取れていない
6つめの原因は「適切な栄養が取れていない」です。
仮に十分な睡眠を取っていたとしても、疲労回復のために必要な栄養素を取れていなければ、疲労感は抜けません。
睡眠は、心身を休息させ回復させる「機会」を提供しますが、その回復プロセスの実践には「栄養素」が不可欠です。
疲労回復に重要な栄養素として、タンパク質、ビタミンB群、鉄分などがあります。これらの栄養素は、身体のエネルギー生成や修復と深く関わっています。
寝ても疲れが取れないときは、疲労を回復させるために必要な栄養をしっかり取れているか、見直す必要があります。
1-7. 運動不足である
7つめの原因は「運動不足である」です。
運動すると、身体機能が高まるため、疲労回復が促進されます。
具体的には、心肺機能が強化され、全身の血流が改善します。身体全体に必要な栄養素や酸素が行き渡りやすくなるため、疲労回復が早くなるのです。
加えて、運動には睡眠の質を改善する効果もあります。
実際に、
〈定期的に運動している人は、睡眠の問題を抱える可能性が低く、日中の疲れを感じる可能性も低い〉
と報告されています。
参考:Wellspring School of Allied Health「Exercise Improves Sleep Quality – Fact or Myth?」
逆にいえば、「運動をまったくしていない人は、寝ても疲れが取れにくい状態にある」といえるのです。
1-8. ストレスがある
8つめの原因は「ストレスがある」です。
ストレスは、心身のエネルギーを消耗させるため、疲れが取れにくくなります。
具体的なメカニズムとしては、ストレス状態が続くと、体は継続的に「戦うか逃げるか反応」の状態となります。
これは生存本能の一種で、危険を感じたときに体が自動的に反応するものです。エネルギーを集結して、戦う、または逃げるために心身を準備させるので、疲労感が生じます。
加えて、前述のとおり、ストレスは眠りが浅くなる原因でもあります。
ストレスによってエネルギーを消耗すると同時に、質のよい睡眠が得られないために、疲労が蓄積してしまうのです。
1-9. 病気が隠れている
9つめの原因は「病気が隠れている」です。
ここまでに8つの原因を解説してきましたが、それらとは別に「病気の症状で疲労感が出ている」という可能性も、知っておくことが大切です。
疲労感が症状として挙げられる病気は、少なくありません。以下は、その一例です。
【疲労感の症状が出る例】※リンク先は厚生労働省
・貧血 |
本記事では、この後、睡眠や栄養などの対処法をご紹介しますが、病気が隠れている場合は適切な治療が不可欠です。
一般的な対処で改善が見られない場合は病気の可能性を疑い、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
2. 寝ても疲れ取れないときに試したい8つの方法
続いて、寝ても疲れが取れないとき、どう対処すればよいのか具体的な方法を見ていきましょう。
以下8つのポイントを解説します。
1.自分の睡眠ニーズを把握する |
2-1. 自分の睡眠ニーズを把握する
1つめの方法は「自分の睡眠ニーズを把握する」です。
睡眠に対するニーズ(どれくらいの時間、眠る必要があるのか)は、人それぞれ違います。この違いを知ることが、良質な睡眠を得るための第一歩です。
2-1-1. 一般的な推奨睡眠時間を確保する
まず、一般的に推奨される睡眠時間は、〈18~64歳は7~9時間、65歳以上は7~8時間〉です。
【参考:推奨される睡眠時間】
公的機関がサポートする米国睡眠財団が、信頼できる多くの国際学術論文から睡眠時間の心身の健康への影響を検討して、年代ごとの推奨睡眠時間と限界範囲を2015年に報告している。推奨される睡眠時間は、18~64歳は7~9時間、65歳以上は7~8時間としている。また、18~64歳は6時間未満で、65歳以上は5時間未満で健康被害のリスクが高まると指摘している。
出典:健康長寿ネット「第1回 世界最大級の睡眠負債大国日本」
推奨の睡眠時間よりも短い睡眠時間であれば、「寝ても疲れが取れない」のではなく、「寝不足なので疲れが取れない」状況の可能性が高いといえます。
18〜64歳であれば、毎日9時間の睡眠時間を確保するように、生活を変えてみましょう。
2-1-2. 自分にとって必要な時間を探る
9時間の睡眠を取っても疲れが取れない場合、9時間以上の睡眠が必要なタイプかもしれません。
自分にとって必要な睡眠時間を確認しましょう。
具体的な方法としては、長期的な休みを利用します。アラームなしで自然に目が覚めるまで睡眠をとり、その時間を記録しましょう。一晩ではなく数日間行い、その平均時間を求めます。
自分にとって必要な睡眠時間がわかったら、その時間を満たすように睡眠時間を確保します。
自分の睡眠ニーズに対して十分に寝ているのに疲れが取れない場合は、次の対策に進みましょう。
2-2. 睡眠効率を高める
2つめの方法は「睡眠効率を高める」です。
2-2-1. 睡眠効率とは?
睡眠効率とは、眠っている時間を寝床で過ごす時間で割ったものです。
【睡眠効率とは?】
寝床ですごす時間のうち、実際に眠っている時間の割合が、睡眠効率です。10時に床について、12時に寝つき、翌朝7時に目覚めて、8時に寝床から出た場合は、睡眠効率は70%です。
出典:監修 山上敏子・著者 足達淑子「4週間で行う自己コントロール法 ぐっすり眠る実践用ワークシート」
自分では一日中寝ている気分でも、ベッドにもぐっているだけで良質な睡眠が取れていなければ、疲れが取れません。
2-2-2. 睡眠効率を高めるアプローチ
睡眠効率を高めるためには、以下のようなアプローチを試すとよいでしょう。
・睡眠の聖域を作る:寝室は睡眠専用の聖域として捉え、照明を落とした静かな空間を作りましょう。 ・ベッドと睡眠の連想を強化する:ベッドは睡眠のみに使用します。ほかの活動(たとえば、動画視聴や仕事)は避けることで、ベッドと睡眠の連想を強化します。 ・日中は活動的に過ごす:日中に適度な運動を行うことで、夜間の睡眠の質の向上が期待できます。 ・就寝前の準備をする:就寝前の1時間はリラックスした時間を過ごし、スマートフォンやパソコンなどのブルーライトを発するデバイスの使用を避けて、眠る準備を行います。 ・覚醒時には起きる:寝床で目が覚めてしまった場合、15分以上経っても再び眠れない場合は、そのままダラダラ過ごさずにベッドから出ます。もし眠くなったら、再度ベッドに戻るとよいでしょう。 |
2-3. 睡眠負債をためない
3つめの方法は「睡眠負債をためない」です。
2-3-1. 睡眠履歴を知ることが第一歩
睡眠評価研究機構の白川修一郎氏によれば、
〈睡眠不足による睡眠負債蓄積への対策は睡眠履歴を知ること〉
だといいます。
たとえば、食事内容を記録しないと把握しにくいように、睡眠も、記憶に残りにくいものです。
4〜5日前の睡眠がどうだったか、昼間や夕食後の強い眠気や居眠りなどを覚えている人は少ないでしょう。
参考:公益財団法人 長寿科学振興財団「第3回 睡眠負債への対策(1)」
まずは睡眠日誌を書くところから、始めてみましょう。
2-3-2. 睡眠日誌の書き方
以下は睡眠日誌の例です。
出典:NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター「睡眠日誌について」
【睡眠日誌に記録する内容】
・寝床に入った時刻 ・眠りについた時刻 ・目を覚ました時刻 ・寝床から出た時刻 ・昼寝や居眠り ・よく休めたか、日中の眠気があったかどうか |
参考:NHK健康チャンネル「睡眠日誌とは?不眠の改善につながる効果的な記録のしかた」
睡眠日誌のテンプレートは、PDFおよびExcelで「睡眠日誌について(NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター)」からダウンロードできます。
睡眠日誌を書いたら1〜2週間に1回ごとに内容を振り返り、自分の睡眠ニーズに対して負債が蓄積していないか(必要な睡眠時間に対してマイナスになっていないか)を確認しましょう。
2-4. サーカディアンリズムを整える
4つめの方法は「サーカディアンリズムを整える」です。
サーカディアンリズムは、生体リズムのひとつで、睡眠に直接影響を与えます。以下で詳しく説明します。
2-4-1. サーカディアンリズムとは?
サーカディアン(circadian)とは、「概日(おおむね一日)」という意味です。
サーカディアンリズムは概日リズムともいい、約24時間周期のリズムのことを指します。
私たちの体には、約24時間のリズムで生理機能や行動を調整する「体内時計」が備わっています。
この体内時計によって、睡眠と覚醒のリズムを、地球の自転に伴う明暗周期に同調させているのです。
哺乳類の体内時計は、脳の中心部下面にある視床下部の“視交叉上核”に存在することがわかっています。
最近の研究によれば、
〈体内時計細胞では時計遺伝子が“時計蛋白”を合成し、それらが相互に結合し、また分解されることを約24時間周期で繰り返しており、このような遺伝子活動から体内時計の概日リズム信号が生じている〉
といいます。
参考:厚生労働省「体内時計」、国立精神・神経医療研究センター「概日リズム睡眠・覚醒障害 」
2-4-2. サーカディアンリズムを整える実践
サーカディアンリズムを整えるためには、体内時計の概日リズム信号が適切に発せられるように工夫することが重要です。
そのポイントは、2つあります。1つめは「サーカディアンリズムに沿って一日を過ごす」ことです。
【サーカディアンリズムの例】
サーカディアンリズムでは、朝になると睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌がストップし、脳が覚醒状態になり、午後に向けて身体の状態が最も活動力の高い状態に整います。
その後、夕方から寝る準備に入り、血圧や体温が下がり始め、メラトニンが分泌され、眠気が生じて深い眠りに入ります。
自分の行動パターンを、できる限りサーカディアンリズムに寄せることで、リズムが整いやすくなります。
【行動パターンを寄せる例】
・10:00:脳が覚醒状態になる企画アイデア出しを行う ・14:30:最高のコンディションで行いたい商談を入れる ・17:00:筋トレと有酸素運動をする ・19:00:入浴を済ませる ・21:00:部屋の照明を落として静かに過ごす |
2つめのポイントは、「目の網膜から取り入れる光の量を、時間帯によって変える」ことです。
脳内の体内時計に対しては、網膜から直接の神経連絡があります。目から入った明暗環境の情報が体内時計に伝達されて、体内時計を最適化しているのです。
サーカディアンリズムは地球の自転に伴う明暗周期に同調しているため、本来は、日の出・日の入りに合わせた自然の明暗環境に身を置くのが理想です。
しかしながら現代生活では難しいので、日の出・日の入りのリズムに似せて、光の量を調整しましょう。
【光の量を調整する取り組みの例】
・朝、起床したらベランダに出て、朝日を浴びる ・外が暗くなってきたら、室内の照明の明るさを落とす ・寝る前にくつろぐ部屋や寝室は、最低限の間接照明だけして暗い状態を保つ ・夕方以降はパソコンやスマホの使用を必要最低限にし、ディスプレイの強い光を目に入れない |
参考:厚生労働省「体内時計」
2-5. 睡眠段階を深める
5つめの方法は「睡眠段階を深める」です。
2-5-1. 深い睡眠と浅い睡眠
睡眠中は、「レム睡眠 + ノンレム睡眠」の1セットが繰り返されています。
レム睡眠もノンレム睡眠も、心身にとって必要な睡眠ですが、とくに疲労感の解消に重要なのは、深い眠り(ディープスリープ)の段階です。
ノンレム睡眠の深い段階では、成長ホルモンが分泌されます。身体のリカバリーが行われ、身体の細胞の修復や筋肉の合成が、活発に行われる段階です。
2-5-2. 最も深い段階まで到達するためにできること
深い眠りに到達するためには、ここまでに解説した以下のポイントをまず実践することが重要です。
・睡眠効率を高める ・睡眠負債をためない ・サーカディアンリズムを整える |
上記に加えて実践できるアクションとして、以下が挙げられます。
・睡眠補助サプリメント:アシュワガンダやグリシンなどのサプリメントを取り入れる *1 ・リラクゼーション音楽:深い眠りをテーマにした音楽を選択して寝室で聞く ・食事のタイミング:就寝の3時間前までに食べ終え、夜の重たい食事は避ける ・アロマセラピー:ラベンダーなど睡眠を深めるとされる香りを試す ・寝室づくり:ゆっくり休息できる寝室を整える *2 |
*1:睡眠補助サプリメントの例として、以下があります。
【参考:睡眠補助サプリメントの例】※リンク先はAmazon検索結果
・アシュワガンダ:アーユルヴェーダなどの自然療法で使用されるハーブですが、ストレスを減らす効果や睡眠の質を高める効果が注目されています。 |
*2:寝室づくりについては重要なため、この後「3. ゆっくり休息して疲れが取れる寝室の3つのヒント」でも詳しく取り上げます。
2-6. 疲労回復に必要な栄養素を取る
6つめの方法は「疲労回復に必要な栄養素を取る」です。
以下を参考に、しっかりと栄養素を取り入れ、睡眠中の疲労回復がスムーズに進むように準備しましょう。
【疲労回復と関わりの深い養素】
・タンパク質:身体の修復や再生に必要で、免疫システムの機能維持にも関与します。タンパク質不足は身体の機能低下を招き、疲労感が増す可能性があります。しっかり取りたい栄養素です。 ・ビタミンB群:エネルギー代謝や神経系の機能に関与します。ビタミンB1は糖質の代謝、ビタミンB2は脂質やアミノ酸の代謝、ビタミンB6はたんぱく質の代謝を助けます。これらが不足するとエネルギー代謝が滞り、疲労感が残りやすくなります。 ・鉄分:血液の成分であるヘモグロビンを作る、酸素輸送に欠かせない栄養素です。鉄分が不足すると酸素の供給量が減少し、全身の細胞が必要なエネルギーを生成できなくなるため、疲労感が生じます。とくに女性は鉄分を失いやすいため、注意が必要です。 ・ビタミンC:抗酸化作用があり、身体の疲労回復に貢献します。免疫機能をサポートし、体調不良による疲労を予防する効果も期待できます。 ・ビタミンD:カルシウムの吸収を助け、骨や筋肉の健康を維持します。不足すると骨や筋肉の弱さ、倦怠感が出やすくなります。 ・マグネシウム:エネルギー代謝に関与し、筋肉や神経の機能を正常に保つ役割があります。不足すると筋肉の疲労や緊張、不眠といった症状が出ることがあります。 ・オメガ3脂肪酸:抗酸化作用があり、身体の炎症を抑える効果があるとされています。炎症が疲労感の一因となることもあるため、オメガ3脂肪酸の摂取は疲労回復に寄与します。 ・水分:身体の細胞が正常に機能するためには適切な水分補給が不可欠です。水分不足は身体機能の低下を招き、頭痛や疲労感が出る原因になります。 ・エネルギー:栄養バランスを保つためには、適切なエネルギー量の摂取も重要です。カロリー不足はエネルギー供給が不足し、身体機能の低下や疲労感を引き起こします。 |
バランスのよい食事から摂取するのが理想ですが、難しい場合には、マルチビタミンミネラルなどの総合的なサプリメントを利用するのも、有効です。
【マルチビタミンミネラルの例】
ディアナチュラ ストロング39アミノ マルチビタミン&ミネラル
2-7. 適度な運動をする
7つめの方法は「適度な運動をする」です。
先にも述べたとおり、適度な運動は心肺機能を改善し血流の流れを良くするので、疲労回復に役立ちます。
“適度な運動”の範囲は、働く世代であれば中強度〜高強度です。
【参考:睡眠不足のリスクを減らす身体活動】
注意点として、過度な運動は反対に疲労感を強めるリスクがあります。自分の体力や体調と相談しながら、無理のない範囲で体を動かしましょう。
就寝の2〜4時間前の運動を回避することも大切です。サーカディアンリズムと逆行して、体温や血圧を上げてしまうためです。
2-8. ストレスをケアする
8つめの方法は「ストレスをケアする」です。
ストレスケアの方法はさまざまありますが、自分に合うケア方法を知ることで、うまくストレスと付き合えるようになります。
以下に一例をピックアップしました。
【ストレスケアのアイデア】
・自然と触れ合う:公園での散歩やガーデニングなど、自然環境に触れるとストレスが軽減されることが報告されています。 ・ペットと過ごす:ペットとの触れ合いは、心を落ち着け、ストレスを和らげます。 ・手工芸やアートに挑戦する:絵を描く・陶芸をするといったクリエイティブな活動は、心地よい集中状態を引き出し、ストレスを忘れさせます。 ・マインドフルネス瞑想:“今ここ”に集中し、ありのままの状態に気づく力を高めます。これによりストレスを把握し、処理する能力が高まります。 ・ヨガ:深い呼吸と適度な運動が組み合わされたヨガは、心と体の両方に良い影響を及ぼし、ストレスを軽減します。 ・ひとりの時間を作る:人々との交流は重要ですが、時には自分だけの時間を持つことも大切です。好きな本を読んだり、映画を見たりすることで、ストレスから解放されます。 ・日記:思いや感情を文字に起こすことで、ストレスの原因を整理し、感情の解放を促します。 ・笑い:お笑いライブに行く、コメディ映画を見るなどして笑うことで、ストレスが軽減されます。 ・食事作り:自分の手で料理を作り、食事を楽しむことも、リラクゼーション効果があります。 |
3. ゆっくり休息して疲れが取れる寝室の3つのヒント
最後に、ゆっくり休息して疲れが取れる寝室づくりのヒントとして、以下のポイントをお伝えします。
1. “寝床気候”の温度・湿度を整える 2. 睡眠に適した音環境を作る 3. 睡眠中は少量の光も入り込まないようにする |
3-1. “寝床気候”の温度・湿度を整える
1つめは「“寝床気候”の温度・湿度を整える」です。
まず前提として、寝室のエアコンや加湿器あるいは除湿器などを使って、寝室の室温と湿度を快適に整えることは、質の高い睡眠のために重要です。
そのうえで、さらにこだわりたいのが「寝床気候」です。
寝床気候とは、就寝時に寝具により身体の周囲に形成される温度・湿度のことです。
寝室の温度・湿度だけでなく、この寝床気候を適切に保つことが、疲れを取る睡眠のカギともいえます。
寝床気候の“温度”は四季を通じて大きな変化はなく、32〜33℃の範囲にあります。
一方、“湿度”は季節差が大きく、春・秋は55〜60%、夏には80%にも達します。
【参考:眠りと湿度の関係】
睡眠中は、適度に寝汗をかくことで身体の深部の体温を下げ、脳や身体の諸器官の休息がはかられます。布団内の湿度が高すぎるとこの機能がうまく働かず、眠りに影響が出ます。また、布団内の温湿度が高いときには寝返りが多くなります。
1年を通じて快適な寝床気候を整えるために、最適な選択肢として「羽毛布団」があります。湿度が高くなりやすい日本の環境でも、上手に湿度を逃がしてくれるので、熟睡しやすいのです。
【羽毛布団の特徴】
・通気性に優れる:空気を通しやすくムレにくいため、夏でも寝苦しさを感じにくくなります。 ・保温性が高い:寒い季節には、羽毛の隙間が暖気をためて、快適な温かさをキープします。 ・軽い:羽毛は非常に軽く、寝返りを打つときもストレスがありません。 |
羽毛布団の関連ページをいくつかご紹介しますので、検討してみてください。
【羽毛布団の関連ページ】
・都留のふとん?~実は日本でトップクラスの質と量を誇る MADE IN 都留~ |
3-2. 睡眠に適した音環境を作る
2つめは「睡眠に適した音環境を作る」です。
睡眠中にどんな音がさせるのか(あるいはさせないのか)について、意図的にコントロールしましょう。
できる限り、静かな環境で眠ることが深い眠りを誘導します。ただし、不自然な静寂は、逆に不安感を強めることもあるため、注意が必要です。
さまざまなパターンを試し、自分にとって心地よく眠れる音環境を、構築しましょう。
【音環境を工夫するアイデアの例】
・防音:壁やガラスを防音仕様にする ・耳栓:外部からの騒音を物理的に遮断する ・ホワイトノイズマシン:さまざまな周波数の音を混ぜた雑音(ホワイトノイズ)を発生させることで、他の音をマスキング(目立たなく)する ・睡眠音楽:レム睡眠を深める目的で制作された音楽をBGMにして眠る |
3-3. 睡眠中は少量の光も入り込まないようにする
3つめは「睡眠中は少量の光も入り込まないようにする」です。
先にも触れたとおり、目(網膜)へ入る光は、人間のサーカディアンリズムに直接影響を与えます。
睡眠中は、できる限り人工的な光が目に入らないようにしましょう。
たとえば、窓の外に見える車のヘッドライトや外灯、近隣の住宅の照明などが、就寝中に目に入らないように工夫しましょう。
スマホは着信しても画面が光らないように設定し、充電中のパソコンのランプなど小さな光もマスキングテープなどで目張りして隠します。
どうしても、光を遮断することが難しい場合は、アイマスクの着用も検討しましょう。
【光を遮断する工夫のアイデア】
・厚手の遮光カーテン ・スマホやパソコンの設定 ・小さなランプなど常灯している光の目張り ・就寝する部屋や向きの変更 ・アイマスクの使用 |
4. まとめ
本記事では、「寝ても疲れが取れない」という問題の解決に向けて、原因と対策を深く解説しました。要点をまとめておきましょう。
寝ても疲れが取れない原因として、以下が挙げられます。
1. より長時間の睡眠を必要としている 2. 実際の睡眠時間が思っているよりも短い 3. 過去の睡眠不足が蓄積されている 4. 生体リズムが乱れている 5. 眠りが浅い 6. 適切な栄養が取れていない 7. 運動不足である 8. ストレスがある 9. 病気が隠れている |
対策として試したい、8つのアプローチをご紹介しました。
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ゆっくり休息して疲れが取れる寝室づくりのヒントとして、以下をお伝えしました。
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これらの実践を通じて、つらい疲れや疲労感を軽減し、元気に過ごせる毎日を取り戻していきましょう。
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