眠りが浅い原因は?放置するリスクと今すぐできる対処法を詳しく解説

「最近、眠りが浅い。何度も目が覚めるし、熟睡した感じがない」
そんな悩みを抱えている方は少なくないでしょう。

「睡眠の質」は、健康や生活の質に大きな影響を及ぼします。

眠りが浅いと、日中のパフォーマンス低下、精神的ストレスの増加、免疫力の低下など、さまざまなリスクが高まるため、けして軽視できない問題です。

この記事では、「眠りが浅い」とはどういう状態なのか、その原因やリスク、そして改善策について詳しく解説します。

眠りが浅いと感じている方、もっと深く眠りたい方、健康的な生活を送りたい方に役立つ情報を、わかりやすくまとめました。

眠りが浅い悩みを解消し、深くぐっすり眠れるように、取り組んでいきましょう。

1. 「眠りが浅い」とはどういう状況か

「眠りが浅い」とは、具体的にはどういう状態を指すのでしょうか。

私たちが「眠りが浅い」と感じるとき、体では何が起きているのか、確認していきましょう。

1-1. “眠りが浅い状態”の定義

毎晩の睡眠のプロセスは、“浅い眠り”と“深い眠り”が交互に繰り返されるサイクルで進行します。

レム睡眠およびノンレム睡眠の初期段階を「浅い眠り」、ノンレム睡眠の後半段階を「深い眠り」と考えると、イメージしやすいでしょう。

【レム睡眠とノンレム睡眠】


「眠りが浅い」という状態は、
睡眠サイクルが乱れ、浅い眠りの時間が長くなることを指します。

つまり、深い眠りになるべき時間帯でも、浅い眠りの状態が続いてしまうのです。結果、睡眠中に容易に覚醒してしまう現象が起こります。

1-2. 眠りが浅い人の特徴や悩み

眠りが浅い人によく見られる特徴や、抱えている悩みとしては、以下が挙げられます。

・夜中に何度も目が覚める

・夢をよく覚えている

・寝てもなかなか疲れが取れない

・日中に眠気を感じる

・集中力が続かない

「夜中に何度も目が覚める」という悩みは、眠りが浅い人に共通してみられるものです。

また、浅い眠りの時間帯は夢を見る時間帯でもあるので、夢を覚えていることも多いでしょう。

身体のリカバリーに深く関わりのある「ノンレム睡眠」の時間が少ないために、体の疲れが取れないのも特徴です。

【参考:レム睡眠とノンレム睡眠の役割】

睡眠の質の低下によって、日中の眠気や集中力の低下に悩まされる人も、多くいます。

1-3. 眠りが浅い状態を放置する5つのリスク

眠りが浅い状態を放置すると、以下のリスクが高まります。

日中のパフォーマンス低下:眠りが浅いと、日中の集中力や判断力が低下します。作業効率が悪くなり、ミスが増える可能性が高まります。

精神的ストレスの増加:質の良い睡眠が得られないことは、イライラや不機嫌の原因となります。メンタルヘルス不調を引き起こすリスクにもつながります。

免疫力の低下:睡眠には、体の免疫機能を高める役割があります。眠りが浅いと、風邪や感染症などに対する抵抗力が弱まる可能性があります。

事故やケガの可能性:十分な睡眠が取れないと日中にボーッとしやすく、反応速度が鈍くなります。交通事故や日常生活でのケガのリスクにつながります。

長期的な健康問題のリスク:長期的に浅い眠りしか取れない状態が続けば、心疾患や糖尿病、高血圧などの慢性的な健康問題のリスクを増加させる可能性が考えられます。

眠りが浅い状態を放置せず、原因を把握して解消していくことが大切です。

2. 眠りが浅い8つの原因

続いて、なぜ眠りが浅いのか、その原因を見ていきましょう。ここでは8つのポイントに分けて、解説します。

1. ストレス
2. 不規則な生活習慣
3. 運動不足
4. アルコール・カフェイン・ニコチン
5. スマートフォンの使用
6. 寝室環境の問題
7. 年齢による影響
8. 何らかの病気や疾患

2-1. ストレス

1つめの原因は「ストレス」です。

ストレスは、心身に大きな影響を与えます。

心配事や悩みが頭から離れず、脳の活動が活発な状態が続くと、眠りに入るのが難しくなります。

さらにストレスが原因でホルモンバランスや自律神経が乱れると、体が覚醒状態になり、眠りが浅くなります。

【ストレスによる影響の例】

悩みの存在:脳の活動が活発になり、寝つけない。

ホルモンバランス:コルチゾール(ストレスホルモン)の分泌が増加し、覚醒状態となる。

自律神経の乱れ:交感神経が優位になり、心拍数や血圧が上昇する。

ストレスが増えると増加する『コルチゾール』には、覚醒作用があります。

また、自律神経(交感神経・副交感神経)のうち、交感神経が優位になると、体は休息とは逆の活動状態になるため、眠りが浅くなります。

2-2. 不規則な生活習慣

2つめの原因は「不規則な生活習慣」です。

就寝時間・起床時間・食事の時間などの生活習慣が不規則だと、眠りが浅くなります。その理由は、体内時計が狂ってしまうからです。

規則正しい生活をしている人の体内時計は、うまくはたらいているため、朝になると自然と目覚め、夜になるとぐっすり眠れます。

【体内時計と睡眠のイメージ】

眠りのメカニズムには、心身をリラックスさせる幸福ホルモン『セロトニン』や、眠気を誘う睡眠ホルモン『メラトニン』といったホルモンが関わっています。

体内時計のリズムが乱れると、これらのホルモン分泌量の増減が、適切なタイミングで行われないために、睡眠が浅くなるのです。

2-3. 運動不足

3つめの原因は「運動不足」です。

たとえば、子どもの頃を振り返ると、たくさん体を動かした日は、ぐっすりと眠った記憶があるのではないでしょうか。

適度な運動は深い眠りを促します。逆に、運動不足は浅い眠りの原因です。

体を適度に疲れさせる効果はもちろんですが、以下のように、運動にはさまざまな安眠効果があります。

【運動の安眠効果】

リフレッシュ効果:心身をリフレッシュさせストレスを軽減させる。

メラトニンの分泌:睡眠ホルモンメラトニンの分泌を促進する。

心地よい疲労感:深い眠りに入りやすくする。

デスクワークが多い方など、日常生活での運動量が少ない場合、運動のメリットを享受することが難しいため、眠りが浅くなります。

2-4. アルコール・カフェイン・ニコチン

4つめの原因は「アルコール・カフェイン・ニコチン」です。

これらの摂取は、眠りを浅くする直接的な要因となります。とくに、就寝前の摂取は避けるべきです。

【作用の例】

カフェイン:中枢神経を刺激し、眠気を抑え、覚醒状態を維持する。利尿作用によって夜中にトイレに行きたくなる。

アルコール:一時的に眠気を誘うことがあるが、体内での代謝が進むと逆に眠りを浅くする(レム睡眠を減少させる)。寝汗、悪夢、頭痛を引き起こすことがある。

ニコチン:中枢神経を刺激し、入眠や睡眠状態の維持を難しくする。

また、注意したいのは、カフェイン・アルコール・ニコチンに対する反応は、個人差が大きいことです。

たとえば、カフェインを例にとると、一般的にはカフェインの効果が持続するのは4〜6時間といわれますが、12〜24時間経っても、効果が残る人もいます。

参考:Sleep Health Foundation「Caffeine, Food, AlcoholSmoking and Sleep」

2-5. スマートフォンの使用

5つめの原因は「スマートフォンの使用」です。

「眠れないとき、スマホを触りながら、眠気が来るのを待っている」

という行動は多くの人がやってしまいがちですが、眠りが浅くなる原因となります。

スマートフォンやパソコンなどのディスプレイから出ている「ブルーライト」という波長の青色の光は、眠気を誘う睡眠ホルモン『メラトニン』の分泌を抑制するからです。

仕組みとしては、スマホを見るほどに目が冴えてきて、頭が覚醒していくことになります。深い眠りとは逆行する行為です。

2-6. 寝室環境の問題

6つめの原因は「寝室環境の問題」です。

寝室の温度や湿度、明るさ、騒音などが適切でないと、眠りが浅くなります。たとえば、寝室が明るすぎると、体はまだ昼だと誤解し、眠りが浅くなります。

【寝室環境の問題の例】

室温:適切な室温は体温の調整に影響します。高すぎる温度は体温が下がらず、深い眠りに入りにくくなります。

湿度:湿度が高すぎると呼吸が浅くなり、また、低すぎると喉が乾燥します。どちらも睡眠の質を低下させる要因となります。

明るさ:寝室の明るさはメラトニンの分泌に影響します。明るすぎると、体は昼間と誤解し、メラトニンの分泌が抑制されます。

騒音:継続的な騒音や突然の大きな音は、深い眠りを妨げる要因となります。

寝具の質:マットレスや枕の硬さ、素材によって睡眠の質が変わります。体の形に合った寝具を選ぶことが重要です。

空気の流れ:部屋の換気が不十分だと、酸欠状態になり、眠りが浅くなる可能性があります。

香り:リラックス効果のあるアロマオイルなどの香りは、質の良い睡眠をサポートします。しかし、強すぎる香りや不快なにおいは睡眠を妨げます。

2-7. 年齢による影響

7つめの原因は「年齢による影響」です。

年を重ねると心身にさまざまな変化が起きますが、睡眠にも、加齢による変化があります。

まず、加齢によって「早寝早起き(早朝覚醒)」になります。これは体内時計の加齢変化によるものです。

朝型に目覚めて二度寝ができない場合、ある程度は加齢の影響と受け入れて、床から出て朝の時間を有意義に使うことも大切です。

もうひとつの変化として、睡眠が浅くなることが挙げられます。

睡眠脳波を調べてみると、深いノンレム睡眠が減って浅いノンレム睡眠が増えるようになります。

【若年者と高齢者の睡眠の比較】

出典:厚生労働省「高齢者の睡眠」

若い頃と違い、「尿意やちょっとした物音などでも、何度も目が覚めてしまう」という悩みは、加齢による影響が大きいといえます。

2-8. 何らかの病気や疾患

8つめの原因は「何らかの病気や疾患」です。

睡眠障害やうつ病、甲状腺機能亢進症などの病気や疾患も、眠りを浅くする原因となります。

病気や疾患が疑われる場合は、自己判断で対策をする前に、かならず専門医に相談することをおすすめします。

早期発見・早期治療により、適切に眠りの質を改善できる可能性が高まります。

睡眠障害については別記事の「睡眠障害とは何か?7つの種類の症状や治し方・向き合う心構えを解説」も、あわせてご覧ください。

3. 眠りが浅い人のための改善策

眠りが浅い原因を把握できると、具体的な改善策も見えてきます。ここでは、6つの対策をご紹介します。

1. ストレスマネジメントを実践する
2. 生活リズムを整える
3. 適度な運動を始める
4. カフェイン・飲酒・喫煙を制限する
5. スマートフォンの使用時間を減らす
6. 寝室環境を改善する

3-1. ストレスマネジメントを実践する

1つめの改善策は「ストレスマネジメントを実践する」です。

睡眠の質を向上させるための重要な鍵は、ストレスの適切な管理です。

眠りが浅いと悩む人の多くが、さまざまなストレスによって、心の負担を強いられています。

ストレスをゼロにできれば理想的ですが、完全にストレスを避けるのは難しいのが現実です。

そのため、完全になくすのではなく、マネジメントによってうまくコントロールしたり、適切に対処したりする視点を持ちましょう。

【ストレスマネジメントの例】

深呼吸:深呼吸は心と体を落ち着ける効果があります。とくに、深く長い腹式呼吸を繰り返すと、自律神経を整え、リラックスさせる効果があります。胸を膨らませず、お腹を膨らませるように息を吸い、ゆっくりと吐くことで、心身の緊張を和らげます。

マインドフルネス瞑想:マインドフルネス瞑想は、現在の瞬間に意識を集中させる瞑想法です。過去や未来の悩みから解放され、心の平静を保ちやすくなります。

ストレス源の特定と対処:日常生活の中で感じるストレスの原因を特定し、それに対する対策を考えます。たとえば、仕事のストレスは休息や趣味によって軽減されることがあります。

カウンセリングや心理療法:ストレスの原因や対処法を専門家と一緒に考え、心の負担を軽減できるようにアプローチします。

あるいは、ストレスケアをサポートしてくれるサプリメントを活用する手もあります。

【ストレスケアサプリメントの例】※リンク先はAmazon検索結果

アシュワガンダ:アーユルヴェーダなどの自然療法で使用されるハーブで、ストレスを減らす効果や睡眠の質を高める効果が注目されています。
テアニン:緑茶などに含まれるアミノ酸で、リラクゼーション効果があります。テアニンのサプリメントは、ストレスの軽減や睡眠の質の向上に寄与するといわれます。
マグネシウム:神経系と筋肉の健康に必要なミネラルです。マグネシウムのサプリメントは、筋肉のリラクゼーションを促し、深い睡眠をサポートします。
GABA:神経伝達物質のひとつで精神の安定に関わります。GABAのサプリメントは、リラクゼーション効果をもたらし、睡眠の質を向上させるといわれます。
グリシン:アミノ酸の一種で、中枢神経系の機能を調節します。グリシンのサプリメントは、睡眠の質を向上させ、翌日の疲労感を軽減すると言われています。

上記は一例であり、ほかにもさまざまな手法があります。

自分に合う方法を探しながら、うまくストレスと付き合っていく道を見つけることが、深い眠りにつながります。

3-2. 生活リズムを整える

2つめの改善策は「生活リズムを整える」です。

体内時計を整えることにフォーカスして、生活習慣を改善してみましょう。

夜になると自動的に眠くなり、朝になったら自然に目覚める体を手に入れるために、役立ちます。

【生活リズムを整える実践例】

起床時間の設定:毎日同じ時間にアラームをセットし、それに従って起床する。

就寝時間の設定:毎日同じ時間に就寝するように心がける。

昼寝の制限:昼寝をする場合は15分以内にし、夕方以降は避ける。

太陽光の取り入れ:朝日を浴びることで、体内時計をリセットし、覚醒をサポートする。

リラックスタイムの設定:就寝1時間前からはリラックスする時間を確保し、穏やかな音楽を聴くなどして心を落ち着ける。

食事のタイミング:朝昼晩と規則正しく同じ時間に食べ、夕食から就寝までの時間を2〜3時間以上空ける。

ルーティンの確立:毎日の生活の中で一定のルーティンを作ることで、体内時計を整える。

3-3. 適度な運動を始める

3つめの改善策は「適度な運動を始める」です。

適度な運動は、深い睡眠を促進します。

ただし、運動のタイミングや強度が不適切だと、逆に睡眠を妨げることもあるので注意が必要です。

【睡眠に効果的な運動のポイント】

タイミング:就寝の3〜4時間前までに運動は済ませましょう。夜遅くの運動は体温を上げてしまい、睡眠の妨げとなる可能性があります。

強度:過度な運動は体が疲労してしまい、睡眠の質を低下させる可能性があります。中強度(運動中に軽く汗をかく程度で、会話はできるが歌うのは難しいレベル)を意識しましょう。

種類:ウォーキング、ジョギング、水中歩行、ヨガなどの有酸素運動がおすすめです。これらの運動は心拍数を適度に上げ、リラックス効果も期待できます。

時間:1回30分、週に2〜5回を目安に継続しましょう。

運動を始めるときには、自分の体力や体調、ライフスタイルに合わせて、無理のない範囲でスタートすることが大切です。

運動を継続して習慣化すれば、心身の健康を保ちながら深い眠りを得られるようになります。

3-4. カフェイン・飲酒・喫煙を制限する

4つめの改善策は「カフェイン・飲酒・喫煙を制限する」です。

眠りに関する悩みが深刻な状況であれば、カフェイン・飲酒・喫煙は完全に断つことが最良の選択です。

完全に断つのが、どうしても難しい場合は、以下を参考にしてみてください。

カフェイン:少なくとも就寝の4時間前からは避ける

アルコール:少なくとも就寝の4時間前からは避ける

ニコチン:少なくとも就寝の2時間前からは避ける

加えて、〈大量の飲酒は、メラトニンの濃度に最大1週間影響する〉という指摘があります。

せっかく生活リズムを整えるために努力していても、1回の暴飲・飲みすぎ・ヤケ酒によって、1週間も調子が狂うリスクがあるのです。

「就寝前4時間を空ければ大丈夫」と考えるのではなく、日頃からお酒の飲みすぎには注意して、適度に楽しむようにしましょう。

参考:Sleep Health Foundation「Caffeine, Food, Alcohol Smoking and Sleep」

3-5. スマートフォンの使用時間を減らす

5つめの改善策は「スマートフォンの使用時間を減らす」です。

多くの人が夜のくつろぎの時間やベッドの中で、スマホを使用していますが、この習慣を変えることには大きな意義があります。

前述のとおり、スマホやパソコンから発せられるブルーライトは、眠気を誘う『メラトニン』の分泌を抑制します。眠くなりたいときにはスマホは見ないことです。

少なくとも就寝時間の2時間前からは、ブルーライトを遠ざけて過ごしましょう。

やむを得ず、スマホやパソコンを使用する場合は、以下の対策で悪影響の軽減が期待できます。

ナイトモードの活用:使用中のスマホに「ナイトモード」や「ブルーライト軽減モード」が搭載されていれば活用し、夕方以降はブルーライトの放出を抑えるよう設定しましょう。

ブルーライトカットフィルム:ブルーライトカットのフィルムをディスプレイに貼り付けることで、影響を軽減できます。

ブルーライトカットメガネ:同じくブルーライトカットメガネをかけることで、影響を軽減できます。

3-6. 寝室環境を改善する

6つめの改善策は「寝室環境を改善する」です。

良質な睡眠を得るためには、寝室環境の改善は重要な要素となります。寝室の温度、湿度、明るさ、騒音などが睡眠の質に影響を与えます。

【対策の例】

室温:季節によって異なりますが22〜28℃を目安に、自分にとって快適だと感じられる室温に調整しましょう。暑すぎると寝苦しさを感じる原因となり、逆に寒すぎると眠りが浅くなります。

湿度:湿度は40〜60%程度がよいとされています。空調機器や寝具をうまく活用して、快適な湿度に整えましょう。

明るさ:夜は室内照明を弱くして光の量を減らし、できるだけ暗い環境で眠りましょう。

:眠りを妨げる騒音のない、できるだけ静かな環境を確保します。落ち着いた静かな音楽をかけると、寝つきがよくなります。

香り:ラベンダーやカモミールなどリラクゼーション効果のあるアロマは、眠気を引き出してくれます。

寝具:自分の体によく合っていて、体への負担が少ない寝姿勢(寝相)をキープできる枕・マットレス・掛け布団を十分に吟味して選びましょう。

とくに、日本の高湿度の環境では、寝具の選び方に注意が必要です。

高い湿度は、カビやダニが繁殖してアレルギー症状を引き起こして睡眠を妨げることや、睡眠サイクルの乱れ・睡眠段階の阻害を引き起こすという報告があるためです。

カビ・ダニ・アレルギーの不安がある方は、日本の環境でも湿度をうまく逃がしやすい「羽毛」の枕や布団を検討してみるとよいでしょう。

【羽毛についてわかる関連記事】

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参考:NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター「温度、湿度と睡眠」厚生労働省「知っているようで知らない睡眠のこと」

4. 眠りの深度の診断方法

最後に、“眠りの深度”を知る方法を3つ、ご紹介します。

「自分の眠りは浅いのだろうか?」と気になっている方や、睡眠改善に取り組んでいて効果を測りたい方は、参考にしてみてください。

1. 睡眠日記をつける
2. ウェアラブルデバイスを利用する
3. 専門機関での検査を受ける

4-1. 睡眠日記をつける

1つめは「睡眠日記をつける」方法です。

これは、毎日の就寝時間、起床時間、夜中に目が覚めた回数などを記録するものです。自分の睡眠パターンを把握し、問題点を見つけるために役立ちます。

【睡眠日記の項目例】

就寝時間と起床時間:「22:00に寝た。7:00に起きた」

睡眠の質に関する感想:「深く眠れた」「何度か目が覚めた」

睡眠中や起床時の体調:「夢を見た」「起きたときに頭痛がした」

昼間の眠気や疲労感:「午後に眠くなった」「一日中元気だった」

カフェインやアルコールの摂取:「コーヒーを2杯飲んだ」「ワインを1杯飲んだ」

運動の有無と時間:「ジョギングを30分した」「運動はしなかった」

4-2. ウェアラブルデバイスを利用する

2つめは「ウェアラブルデバイスを利用する」方法です。

ウェアラブルデバイスとは、腕などに身につけて利用する端末のことです。たとえば「Apple Watch」のようなスマートウォッチがあります。

ウェアラブルデバイスを使うと、睡眠中の心拍数や身体の動きを記録し、そのデータから、睡眠の深さや質を分析できます。

【ウェアラブルデバイスのイメージ図】

たとえば、心拍数が低い時間は深い睡眠、高い時間は浅い睡眠と判断します。また、睡眠中の身体の動きが多い時間は、眠りが浅くなっている可能性があります。

4-3. 専門機関での検査を受ける

3つめは「専門機関での検査を受ける」方法です。

医療機関でPSG(睡眠時ポリソムノグラフィー)などの睡眠検査を受けることで、より詳細なデータを得ることができます。

【PSG(睡眠時ポリソムノグラフィー)とは?】

この検査は、体にたくさんの「センサー」を取り付けて、寝てもらうことにより、夜間の睡眠の状態や、睡眠中に呼吸の停止などにより低酸素血症をきたしていないかなどを、確認するための精密検査になります。

この検査は、簡易の検査により睡眠時無呼吸症候群が、疑われるときの精密検査、または、睡眠時無呼吸症候群の治療としてCPAP治療をおこなっているとき、機器の作動による治療効果を評価するための検査になります。

出典:近畿中央呼吸器センター「PSG(睡眠時ポリソムノグラフィー)」

PSGは、脳波や心電図、筋電図などを一晩中記録し、睡眠の深度や睡眠障害の有無を詳細に調べる検査です。

【PSGのイメージ図】

PSGは、睡眠時無呼吸症候群など、特定の睡眠障害の診断にも用いられます。

5. まとめ

本記事では「眠りが浅いこと」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

眠りが浅い原因として、以下が考えられます。

1. ストレス
2. 不規則な生活習慣
3. 運動不足
4. アルコール・カフェイン・ニコチン
5. スマートフォンの使用
6. 寝室環境の問題
7. 年齢による影響
8. 何らかの病気や疾患

眠りが浅い状態を改善する対策として、以下を解説しました。

1. ストレスマネジメントを実践する
2. 生活リズムを整える
3. 適度な運動を始める
4. カフェイン・飲酒・喫煙を制限する
5. スマートフォンの使用時間を減らす
6. 寝室環境を改善する

睡眠の問題は、即座に解決することは難しくても、取り組みを続けることで徐々に効果を実感できます。

できるところから継続して、取り組んでいきましょう。

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