これって寝冷え症状?5つの症状と寝冷えを避ける方法を詳しく解説

「なんだか風邪っぽいけど、これって寝冷え症状?」
「朝起きてからお腹の調子悪いのは、寝冷え症状のひとつなのかな?」

朝一番に体調が悪い場合に「これって寝冷え症状なのかな?」と考える方は多いのではないでしょうか。

「寝冷え(ねびえ)」とは、睡眠中に体が冷えることがきっかけで、身体の不調が引き起こされることを指します。(ただし、医学的には「寝冷え」という病気や症状が存在している訳ではなく、その定義が明確でないことがあります。)

この寝冷えの代表的な症状として、腹痛・下痢などのお腹の症状や、風邪症状などがあります。

なお、寝冷え症状を治したとしても、寝冷えが起きやすい状況をそのままにしておくと、また寝冷えになってしまうので注意が必要です。

「どうしたら寝冷えになってしまうのか」を理解して、そのような状況を根本から改善することが大切です。

この記事では、「寝冷えが何故起きてしまうのか?」という原因についてや、寝冷えが起きたときの対処法を説明した後、今後寝冷えが起きないために大切な5つのポイントも解説します。

「これって寝冷え症状?」という内容が気になる方も、寝冷えにならない方法を知りたい方も、ぜひこの記事を最後まで読んで、寝冷えを避けるための対処法を確認してみてください。

1. 寝冷えが原因で起こる症状5つ

寝冷え(寝ている間に体が冷えてしまった状態)が原因で起こり得る症状には、以下の5つがあります。

寝冷えが原因で起こり得る症状
お腹の症状(腹痛・下痢など)
風邪の症状(喉の痛み・熱・頭痛など)
体の痛みやこわばり(肩こり・腰痛など)
血流の滞り(末端冷え性・関節痛・しびれなど)
その他の体調不良(調子が悪い・疲れやすい・食欲がないなど)

それぞれ、どんな症状か具体的に解説していきます。

1-1. お腹の症状(腹痛・下痢など)

寝ている間にお腹が冷えてしまうと起こりやすいのが、腹痛や下痢などのお腹の不調です。

お腹が冷えることにより胃腸の動きが弱くなり、うまく食事を消化できなくなることが原因で、腹痛や下痢になることがあります。

また、お腹の冷えが便秘やガス溜まりにつながり、おならが増えるといった症状も考えられます。

朝起きたときにお腹が冷たくなっていたら、寝冷えを疑ってみましょう。

1-2. 風邪の症状(喉の痛み・熱・頭痛など)

寝ている間に体全体が冷えてしまうと起こりやすいのが、いわゆる「風邪」の症状(喉の痛み、熱、咳、頭痛など)です。

クーラーを切らずに寝てしまった、掛け布団をかけずに寝てしまったなど、体が冷えることが原因で起こります。

朝起きたときに体全体や手足が冷えていたら、それは寝冷えの可能性が高いでしょう。

1-3. 体の痛みやこわばり(肩こり・腰痛など)

寝冷えで肩や背中、腰など体が冷えてしまうと起こりやすいのが、肩こりや腰痛などの体の痛みやこわばりの症状です。

体が冷えると、筋肉が収縮してしまい、血管が圧迫されます。これが、肩こりや腰痛などの原因となります。

目覚めたときに体の冷え(特に、肩や背中、腰など)を感じた場合には、寝冷えが起きている可能性を考えてみましょう。

1-4. 血流の滞り(末端冷え性・関節痛・しびれなど)

血流の滞りが原因の諸症状も、寝冷えが原因で起こる症状のひとつです。

寝ている間に冷風を浴びてしまったなど体を長時間冷やしてしまうと、血流が悪くなり、末端冷え性、関節痛、しびれなどの症状につながることがあります。

起きたときに体がこわばっていたり、手先が冷えていたりしたら、注意が必要です。

1-5. その他の体調不良(調子が悪い・疲れやすい・食欲がないなど)

明確な原因究明は難しいものの、その他の体調不良も寝冷え症状の可能性があります。

特に、起きがけに感じる調子の悪さや、朝起きたばかりなのに疲れている、食欲がない、肌の調子が悪いなどは、寝冷え症状のひとつかもしれません。

そのような症状がある場合には、次から解説する寝冷えが起こる状況に合致していないか確認してみてください。

2. 寝冷え症状の原因とメカニズム|なぜ寝冷えが起こるのか?

ここからは、寝冷え(症状)が起こる原因・メカニズムについて解説していきます。

寝冷え(症状)が起こってしまう原因4つ
エアコンで部屋を冷やしすぎてしまったため
季節の変わり目に急に寒くなったため
汗のかきすぎて体が冷えてしまったため
自律神経の働きが低下しているため

寝冷えは、季節の変わり目や、夏・冬に起こりやすいといわれています。

寒い時期だけではないというところがポイントです。

それぞれについて詳しく解説していきます。

2-1. エアコンで部屋を冷やしすぎてしまったため

寝冷えが起こる原因で多いのが、エアコンによる部屋の温度の下げすぎです。

最近では、一年中快適に過ごすためにエアコンを付けている家庭が増えています。

春から夏への季節の変わり目や熱帯夜など、寝苦しいために冷房を付けて寝る方も多いのではないでしょうか。

朝までエアコンを付けっぱなしで寝てしまうと、体温が極端に下がりすぎてしまい、寝冷えの原因となります

また、扇風機の風が直接肌に触れるのも、体温を奪うため寝冷えにつながります。

2-2. 季節の変わり目に急に寒くなったため

季節の変わり目も寝冷え症状が起こりやすい時期です

夏から秋、秋から冬など季節が移ろう時期に急に寒さが増し、適切な寝具が用意できなかったことから起こります。

例えば、夏に接触冷感の薄い掛け布団を使っていた場合、9月になって急に寒さが増した時に寒すぎて体が冷えてしまうことはあるでしょう。

また、秋から冬にかけても、同様に寒さに対応しきれなくなるケースがあります。

寝具だけでなく、寝間着が半袖だったために肌を冷やしてしまったというケースもありえるでしょう。

2-3. 汗のかきすぎて体が冷えてしまったため

汗のかきすぎも、寝冷えの原因となります。体を冷やさないように温めることは大切ですが、逆に温めすぎてしまうと汗をかきすぎて体を冷やしてしまうので注意が必要です。

汗のかきすぎによる寝冷えは、夏でも冬でも起こりえます。

就寝中は、季節にかかわらず一晩にコップ1杯程度の寝汗をかくと言われています。

例えば夏の場合、「肌を冷やしたくないから」と厚手の掛け布団をかけて寝てしまうと、当然汗をかきすぎてしまい、その汗が冷えることにより寝冷えにつながります。

冬の場合は、「寒いから」とモコモコのパジャマやヒートテックなど保温効果の高い寝間着を着て寝たり、断熱効果が高すぎるシンサレート布団を掛けて寝てしまうと、たくさん汗をかいてしまう可能性があります。

特に入眠後の2~3時間は汗をかきやすいといわれています。

ここで汗をかきすぎてしまうと、明け方に気温が下がった時に、それまでにかいた汗が冷えて、寝冷えにつながります。

2-4. 自律神経の働きが低下しているため

2-1から2-3で解説した原因の他に、寝ている本人の自律神経の働きが低下していると、就寝中の体温調節が上手くできないことにより寝冷えにつながることがあります。

2-3でも解説した通り、就寝中は一晩にコップ1杯程度の寝汗をかきます。寝汗をかくことで体温を下げて、深い眠りにつくことができるメカニズムとなっています。

出典:環境省|睡眠のプロに学ぶ!暑い夏の夜を乗り切る快適な睡眠術

しかしながら、自律神経のバランスが乱れていると、のぼせやほてりが起きて寝汗をかきすぎてしまいます。

寝汗をかきすぎてしまうと、前述した通り、体から熱が奪われてしまい、寝冷えにつながります。

過度なストレスやホルモン分泌の乱れなどが原因で、自律神経が乱れていないか、注意してみることが重要です。

3. 【今する】寝冷え症状がつらい時の対処法

ここからは、寝冷えの対処法について解説していきます。

3章では「寝冷えが既に起こってしまった時の対処法」を、4章では「今後、寝冷えが起きないためにできる対処法」を解説します。

「お腹が冷えて調子が悪い」「なんだか風邪っぽい」など、寝冷えによる症状が既に出てしまった場合には、以下のような対処法を試してみましょう。

3-1. お腹の症状がある場合:温かく消化に良いものを食べる

軽い腹痛や下痢、お腹が冷えている感覚があるなど、寝冷えによるお腹の症状がある場合には、温かくて消化に良いものを食べましょう。

例えば、以下のような食事を摂取するのがおすすめです。

・卵がゆ
・煮込みうどん
・湯豆腐
・温かいスープ(ポタージュや野菜スープなど)
・やわらかい煮物

食物繊維や脂肪が少ない食材を選び、油の使用は最小限に抑えて、小さく切って柔らかく煮た料理が適しています。

甘味・塩分・酸味は控えて、香辛料や嗜好飲料も避けるのがおすすめです。

お腹の症状が続くようならば、寝冷えではない原因が隠れている可能性もあるため、病院を受診しましょう。

3-2. 体の冷えを感じる場合:入浴・足湯・蒸しタオルで体を温める

軽い風邪の症状がある場合や肩こりなどの体の痛み、血流の滞りがあるなど、体の冷えを感じる場合には、入浴・足湯・蒸しタオルで体を温めましょう。

冷え切ってしまった体を内側から温めるのに最も適した方法は、やはり入浴です。

芯から温まるために効果的な入浴方法は、38℃~40℃くらいのぬるめのお湯に、15分~20分全身で浸かるのが理想です。

熱すぎるお湯に使ってしまうと、逆に「身体を冷やそう」という機能が働いて湯冷めしてしまうので注意しましょう。

寝冷えをさらに悪化させてしまわないよう気を付けてください。

お湯に長く浸かりたく無い場合は、足湯や蒸しタオルで身体を温めるのも良いでしょう。

特に「ふくらはぎ」を温めると血流が促進されるのでおすすめです。

3-3. その他症状や長く続く場合:病院を受診するのがおすすめ

「体の疲れが取れない」「食欲がない」「なんとなくだるい」など、その他の症状が長く続く場合には、一時的な寝冷え症状ではなく、その他の原因が隠れている可能性があります。

病院を受診して、しっかりと原因を特定するようにしましょう。

冒頭でも説明した通り、西洋医学では「寝冷え」という病気や症状は無いといわれています。

今起きている症状を「寝冷え」と思い込んでいるうちに、病気を見逃さないようにしてください。

東洋医学のアプローチで直したい場合には、漢方や鍼灸、食事法などで寝冷えを解消することができるかもしれません。近くの診療所を探して相談してみると良いでしょう。

4. 【今後】寝冷えが起きないために大切な5つのポイント

最後に、寝冷え症状が起きないためのポイントを5つ紹介していきます。

3章で寝冷え症状が起きてしまった場合の対症療法を解説しましたが、根本的に「寝冷えが起こらない状況・環境」に改善しなければ、また起きてしまいます

寝冷えが起きないためには、以下のような環境づくりや行動変容を行いましょう。

今後寝冷えが起きないために大切な5つのポイント
低い設定温度でエアコンを付けっぱなしにしない
汗をかいたまま布団に入らない
吸放湿性の高い素材のパジャマを選ぶ
手足を出さずに長袖・長ズボンのパジャマを選ぶ
吸放湿性が高い羽毛布団を取り入れる

4-1. 低い設定温度でエアコンを付けっぱなしにしない

寝冷えを防ぎたいならば、夏の蒸し暑い日であっても、低い設定温度でエアコンを付けっぱなしで寝るのを避けましょう。

改善策
・設定温度は27℃~29℃程度にする(冷やしすぎない)
・扇風機やサーキュレーターで空気を循環させ、体感気温を下げる
・どうしても冷やしたい場合は、「切タイマー」で3時間後にオフが良い

低い設定温度は避けて27℃~29℃程度を目安にして、扇風機やサーキュレーターを活用する方法がおすすめです。

また、体に扇風機やサーキュレーターの風が直接当たらないようにしましょう。

設定温度をどうしても低くしたい場合は、「切タイマー」を設定して、3時間後にエアコンが自動でオフになるようにするのがおすすめです。

3時間を超えて冷やし続けてしまうと、入眠後にかいた汗が体温を奪いすぎてしまい、寝冷えの原因となります。

4-2. 汗をかいたまま布団に入らない

汗をかいたまま布団に入らないのも、寝冷えを引き起こさないために重要なポイントです。特に注意したいのが、入浴時間と就寝時間との関係です。

改善策
・入浴は、就寝の2時間前までに済ませる
・夏場は全身を温めすぎないために、半身浴やシャワーで済ませる

お風呂から出た後は血管がしばらく広がったままの状態なので、入浴後すぐに布団に入ってしまうと、体温がどんどん奪われてしまいます。また、火照った体から通常以上に発汗した水分が冷えることで、寝冷えにつながってしまいます。

寝冷えを防ぐために、就寝時間から逆算して2時間前までに入浴を済ませること、夏場は特に「全身を温めすぎない」を心がけましょう。

4-3. 吸放湿性の高い素材のパジャマを選ぶ

寝冷えを防ぐには、パジャマ(寝間着)の選び方に気をつけましょう。

寝冷えしやすいパジャマ
・汗をかくほど保温性の高すぎる寝間着
・吸湿性の低い素材(ポリエステルやボア生地、フリース生地)

寝冷えしにくいパジャマ

・吸湿性が高い素材(コットン・パイル・ダブルガーゼなど)を使用したパジャマ

3章で書いた通り、寒いからといって暖かすぎるパジャマを着用するのは逆効果です。さらに吸放湿性が低い素材だと、たくさんかいた汗がそのまま冷えて寝冷えの原因になってしまいます。

保温性が高すぎず、かつ、吸湿性が高い素材を選びましょう。

✕ポリエステルやボア生地、フリース生地など
◯コットン・パイル・ダブルガーゼなど

なお、お腹や手足が寒いという場合には、腹巻きとレッグウォーマーを活用する方法もおすすめです。

4-4. 手足を出さずに長袖・長ズボンのパジャマを選ぶ

暑い夏でも長袖(または七分袖)のパジャマを選び、手足を冷えさせない工夫も大切です。

寝冷えしやすいパジャマ
・半袖・半ズボンなど、露出が多くて手足が冷えやすいパジャマ

寝冷えしにくいパジャマ
・夏でも、肌を露出しない長袖・長ズボンのパジャマがおすすめ

半袖やノースリーブなど肌を露出するパジャマだと、エアコンや扇風機の風が当たった時に体温を奪ってしまいます。また、手や足に汗をかいてもパジャマが汗を吸収しないため、汗がそのままになり体温が低下し、寝冷えに繋がります。

しっかりと手足をカバーするようなパジャマを選ぶことが大切です。

4-5. 吸放湿性が高い布団(羽毛布団)を取り入れる

寝冷えを防ぐためには、吸放湿性が高い寝具を取り入れることもとても重要です。断熱性が高くて温かくても、吸湿性・放湿性が低い布団を選んでしまうと、汗を発散できず寝冷えにつながります。

寝冷えになりやすい布団
・シンサレートやプリマロフトなど化学繊維で吸放湿性が低い布団

寝冷えになりにくい布団
【夏】軽さと吸放湿性を兼ね備えた、羽毛・麻・シルク・コットンがおすすめ
【冬】保温性と吸放湿性を兼ね備えた、羽毛・羊毛がおすすめ

吸湿性・放湿性が高く、汗をかいても体温を冷やさないためには、天然素材を使った布団が最適です。

中でも、吸放湿性・軽さ・温かさ全てを兼ね備えた羽毛布団は、夏でも冬でも適した素材なのでおすすめです。

以下記事では季節ごとのおすすめの掛け布団を解説していますので、ぜひ参考にしてください。

春におすすめの掛け布団の条件は?保温性と通気性を兼ねた商品も紹介
夏におすすめの掛け布団とは?ムレずに軽く寝心地が良い布団10選
冬の暖か肌掛け布団おすすめ15選!基本知識から選び方まで徹底解説

まとめ

本記事では「寝冷え症状」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。

▼「寝冷え」とは

・眠っている間に体が冷えたことがきっかけで、風邪・腹痛・下痢などの不調が起きること

寝冷えが原因で起こる症状5つ

・お腹の症状(腹痛・下痢など)
・風邪の症状(喉の痛み・熱・頭痛など)
・体の痛みやこわばり(肩こり・腰痛など)
・血流の滞り(末端冷え性・関節痛・しびれなど)
・その他の体調不良(調子が悪い・疲れやすい・食欲がないなど)

寝冷え症状はなぜ起こる?寝冷えのメカニズム

・エアコンで部屋を冷やしすぎてしまったため
・季節の変わり目に急に寒くなったため
・汗のかきすぎて体が冷えてしまったため
・自律神経の働きが低下しているため

寝冷えによる症状が起きた時の対処法

・お腹の症状がある場合:温かく消化に良いものを食べる
・体の冷えを感じる場合:入浴・足湯・蒸しタオルで体を温める
・その他症状や長く続く場合:病院を受診するのがおすすめ

寝冷えが起きないための5つのポイント

・低い設定温度でエアコンを付けっぱなしにしない
・汗をかいたまま布団に入らない
・吸放湿性の高い素材のパジャマを選ぶ
・手足を出さずに長袖・長ズボンのパジャマを選ぶ
・吸放湿性が高い羽毛布団を取り入れる

寝冷え症状を起こさないためには、寝冷えが起きないように環境を整えることが大切です。今回の記事を参考に、寝室や寝具の環境を整えてみてください。

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