グースダウンとは、グース(ガチョウ)の胸元に生えている球状の綿毛(ダウンボール)のことです。
そもそもダウンとは、形状が球状で弾力があるフワフワの綿毛のことを指し、このダウンが採れる水鳥はグース(ガチョウ)とダック(あひる)の2種類あります。
価格はグースダウンの方が高くなりますが、その理由はグースダウンの方が大きくてコシ・ハリがあるダウンボールが採れるためです。
この特性から、「軽いのに温かい」高品質な羽毛布団を作れるのです。
この記事では、そのように高品質なグースダウンがなぜ人気なのかについて、より理解できるよう他の羽毛と比較しながら詳しく解説します。
後半ではグースダウンを使用した羽毛布団を選ぶ際のポイントについても説明するので、グースダウンが気になっている方にぴったりな内容となっています。
「羽毛布団はグースダウンが良いと聞くけれど、本当にそうなの?」と疑問に思われている方は、ぜひこの記事を最後までお読みいただき、そう言われる理由を確かめてみてください。
1. グースダウンとは
グースダウンとは、グース(ガチョウ)の胸元に生えている球状の綿毛(通称ダウンボール)のことをいいます。
直接見たことがある人は少ないかもしれませんので、より具体的なイメージを持っていただくために、以下で詳しく説明していきます。
1-1. グース(goose)とは「ガチョウ」のこと
グース(goose)とは、ガチョウのことをいいます。
羽毛布団やダウンジャケットなどに使われる羽毛の水鳥は、大まかに分けて「グース(ガチョウ)」と「ダック(あひる)」の2つに分かれます。
グースは、ダックと比べて、ダウンボールが大きく弾力があり、少ない量でも保温性が高いため、品質が高いのが特徴です。
1-2. ダウンとは「水鳥の胸元に生えている球状の綿毛」のこと
「ダウン」とは、水鳥の胸元に生えている球状の綿毛のことをいいます。ダウンボールともいいます。
水鳥の毛というと「羽根」を想像する方が多いかもしれませんが、ダウンボールと羽根は形状に違いがあります。
羽毛(ダウン)とは、水鳥の胸のあたりから採れる毛のことで、形状は球状です。タンポポの綿毛のようにふわふわとしており、芯がないものです。
保温性、吸湿性、発散性に優れていて、軽くて温かいのが特徴です。
一方、羽根(フェザー)は水鳥の翼の部分から採れるもので、湾曲した羽の軸があり、弾力性があるのが特徴です。
価格の安い羽毛布団には、ダウン(羽毛)に混じって羽根(フェザー)が多く含まれていることがあるので、購入時にはよく確認するようにしましょう。
2. グースダウンとダックダウンの違いを5項目で比較
ここからは「グースダウンとは何か?」を理解するために、もう1つのダックダウンと対比させながら、解説していきます。
グースダウンとダックダウンの違いを5項目で比較 |
それぞれの違いについて、一つずつ詳しく解説していきます。
2-1. 水鳥の体の大きさ(グースの方が1.5倍~2倍大きい)
グースダウンが採取できる「グース(ガチョウ)」とダックダウンが採取できる「ダック(あひる)」は、成鳥の体の大きさが1.5倍~2倍も違います
大人のグースの体長は、個体差はありますが70cm~120cm程度で、大人のダック(あひる)は50cm~80cm程度です。
水鳥の体の大きさがここまで違うと、一般的に大きな羽毛は空気を効果的に捉えることができるので、優れた保温性と耐久性を提供できる傾向があります。
2-2. ダウンボールの大きさ・コシ(グースの方が大きくてしっかりしている)
体の大きさが違うことにより、水鳥から採れるダウンボールの大きさも異なってきます。
体が大きいグース(ガチョウ)の方が、ダック(あひる)よりも大きなダウンボールが採れるのです。
また、サイズの大きさだけでなく、グースの方がダックよりも密度が高く、ハリとコシもあるしっかりとしたダウンボールが採れます。
これにより、グースダウンを使うと、壊れにくく耐久性も高く、長く使える羽毛布団に仕上げることができるのです。
2-3. 軽量性と保温性(グースの方が軽くて温かい)
軽量性と保温性を比べると、グースダウンの方が軽くて温かいといえます。
この理由としては、2-2で説明したダウンボールの大きさやハリ・コシの違いが原因となります。
ダウンボールが大きいグースダウンの方が、暖かい空気をより多く含むことができるため、保温力も高まります。
さらに、ボリュームがあるため充填量が少ない量で済み、「軽いのに温かい」という状態を実現できるのです。
一方、ダックで同じ温かさやボリュームを実現しようと思うと、ダウンボールが小さいため、たくさん充填しなければならず、重くなってしまうでしょう。
2-4. 動物性の臭い(グースの方が臭いが気にならない)
ダウンの臭いを比較すると、ダック(あひる)の方は動物性の嫌な臭いがする一方、グース(ガチョウ)の方が臭いが気にならない傾向があります。
その理由としては、食べるものの違いがあります。
グース(ガチョウ)は、植物を主食としており肉は食べないため、嫌な臭いが蓄積されず、臭いが気にならない傾向があります。
一方で、ダック(あひる)は雑食で肉も食べるため、油脂分が蓄積されてしまい、特有のケモノくさい臭いを感じやすくなります。
「羽毛布団の臭いが気になる」という方は、ダックダウンではなくグースダウンを使用している羽毛布団を選ぶことをおすすめします。
2-5. 価格(グースの方が値段が高い)
グースダウンを使った羽毛布団の方が、ダックダウンを使用したものよりも価格が高くなります。
例えば、同じ400dp程度のグースダウンとダックダウンの価格を比べると、グースダウンは1kgあたり8万円程度ですが、ダックダウンは1kgあたり4万円程度で済みます。
グースの方が値段が高い理由としては、ここまで説明した通り、グースダウンの品質の高さがそのまま人気の高さに比例し、グースダウンの方が人気があるからです。
グースダウンの方が軽くて保温性が優れており、さらに臭いも気にならないため、多くの方がダックダウンよりもグースダウンを使った羽毛布団を選ぶ傾向にあります。
人気があって欲しい人が多いほど需要が高まり、価格も高くなる傾向があるのです。
価格の高さは、品質の高さと比例することは覚えておきましょう。
3.【まとめ】グースダウンの方が品質が高く価格も高い
ここまでで、グース(ガチョウ)とダック(あひる)のダウンを比べると、グースの方が品質が高く値段も高いことが分かったことと思います。
改めて、今までの内容をまとめてみました。
グース(ガチョウ)は、水鳥が大きい分、大きくてしっかりしたダウンボールを採取でき、軽量性と保温性を兼ね備えた「軽いのに温かい」羽毛布団を作ることができます。
また、動物性の臭いも少なく、臭いを気にせずに使えるメリットがありますよ。
一方で、ダック(あひる)は、水鳥の体長が小さいため、軽量性と保温性ではグースに劣ります。
ダウンボールが小さいため、グースと同じくらい温かくしたい場合には、羽毛布団が重くなりがちです。また、特有のケモノっぽい臭いを感じる方が多く、人によっては苦手と感じる方もいるでしょう。
これらの要因を考慮すると、グースダウンの方が品質が高く、それに伴って価格も高いことに納得できると思います。
4. 品質の良い羽毛布団が欲しい方はグースダウンがおすすめ
ここまで説明した通り、グースダウンとダックダウンを比べると、さまざまな観点においてグースダウンの方が優れています。
そのため、軽さと温かさを兼ね備えた「品質の良い羽毛布団」が欲しいという場合には、ダックダウンではなくグースダウンを使用した羽毛布団がおすすめです。
品質にこだわって布団を作っている高級布団のお店では、羽毛布団の中綿素材として、当たり前のようにグースダウンを使うのが常識です。
グースの中でも親鳥まで成長した「マザーグース」を使用することが一般的です。
一方で、布団のラインアップとしてダックが使われる場合は、「グースよりも価格がリーズナブルなもの」と位置づけられていることが多いでしょう。
ダウンの品質:マザーグース>グース>ダック |
【補足】別格として「アイダーダック」(アイスラウドに生息する保護鳥)という、マザーグースよりも品質も価格も高い羽毛があります。ただし、羽毛布団の価格が100万円を超えることも珍しくないものであり、雲の上の存在のようなものと理解しておくと良いでしょう。
「高品質の羽毛布団が欲しい」ならば、グースダウンを選ぶことをおすすめします。
羽毛布団のランクについては、「羽毛布団のランク一覧|産地・ラベル・側生地など9つの指標を解説」の記事もぜひ参考にしてみてください。
5. グースダウンの羽毛布団の選び方|3つのポイント
「品質にこだわるならグースダウンが良い」ことが分かったところで、ではどのようにグースダウンの羽毛布団を選べば良いかを解説していきます。
グースダウンの羽毛布団を選ぶ上で重要なポイントは、以下の3点です。
グースダウンの羽毛布団を選ぶ上で重要なポイント |
それぞれ詳しく解説していきます。
5-1. グースの産地(どの国で育った水鳥か)
グースダウンの羽毛布団の中には、「ポーランド産」や「ハンガリー産」など羽毛の産地が記載されている羽毛布団があり、人気の産地の羽毛を使用している場合は価格が高くなります。
羽毛布団に使われる羽毛の、人気の産地をまとめると以下のようになります。
【羽毛布団に使われるグースの人気の産地】
一番人気 | ポーランド産マザーグース(ホワイト・コウダ種) |
人気 | ハンガリー産マザーグース |
次点 | ドイツ、ロシア、カナダなど寒冷地にある原産国 |
標準 | その他の国や、原産国の表示なしの羽毛布団 |
特に品質が高いといわれている人気の産地は、ポーランドやハンガリーです。
この2つの国は、国家事業として羽毛の品質にこだわり、品質の高い羽毛を安定的に供給しています。
高品質を保つためにトレーサビリティも重視されており、飼育期間や体重なども厳密に管理されています。
グースダウンの品質が高いといわれている産地はいずれも、冬の寒さが厳しい地域です。
厳しい寒さで育った水鳥が使われているからこそ抜群の保温力を発揮します。
人気の産地の羽毛布団はそれだけ価格も高くなりますが、それだけ良い羽毛布団に仕上がるのも事実です。
安眠できる「良い羽毛布団」が欲しい方は、ぜひ産地にこだわって選んでみましょう。
5-2. ダウン率(どれだけ多くダウンが入っているか)
グースダウンの羽毛布団を選ぶ際に重視すべきポイント2つ目は、ダウン率です。
品質の良い羽毛布団を選びたいならば、ダウン率90%以上のものがおすすめです。
羽毛布団の中綿(中身の素材)はダウンとフェザー(羽根)に分かれますが、ダウン率とは、ダウンがどのくらい入っているかの割合を示した数値です。
例えば、ダウン率90%なら羽毛布団の中身の90%がダウン(羽毛)で、残りの10%がフェザー(羽根)となります。
▼ダウンとフェザーの違い
ダウン率90%以上がおすすめの理由は、ダウンはフェザーよりも保温性が高く、ダウン率が高いほど保温力が高く、軽くて温かい良い羽毛布団となるからです。
羽毛布団の良さを感じたいならば、ダウン率90%以上がおすすめです。
※ダウン率50%で「羽毛布団」と名づけられるため、ダウン率は最低が50%です。 ※ダウン率にはプラスマイナス5%の許容誤差があり、表記上は90%でも実際のダウン率は85%までの誤差が認められています。また、ダウン率100%という商品は存在せず、最大でも98%(手で選別する場合)となります。 |
5-3. ダウンパワーの値の高さ(どれだけ膨らむか)
ダウンのグース羽毛布団を選ぶ場合に重視すべき3つ目のポイントは、羽毛のダウンパワー(かさ高)です。
ある程度の品質の羽毛布団がほしいならば400dp以上、より高品質の羽毛布団がほしいならば440dp以上がおすすめです。
440dp以上 > 400dp以上 > 350dp以上 > 300dp以上 |
ダウンパワーとは、羽毛1gあたりの体積を表した指標で、「dp」または「㎤/g」が単位として使われます。
ダウンパワーの値が大きいほど「膨らむ力」が強く、体積のボリュームが大きいことを示しています。
以下は、ダウンパワーのイメージ写真です。
同じ重さでもダウンパワーの数値が大きい右側の羽毛の方が大きく膨らみ、体積が大きくなるイメージが伝わるでしょうか。
膨らむ力が強いほど羽毛の間に空気を多く取り込むことができるため、暖かさを持続できます。また、軽くても暖かい質の良い羽毛布団となるのです。
一般的な羽毛布団は300dp以上のものがほとんどですが、質の高い羽毛布団が欲しいなら400dp以上がおすすめです。
また、最高級品を選びたいならば440dp以上を目安に選びましょう。
「品質の良い羽毛布団が欲しいけど、自分で購入するには値が張る…」という方には、税金控除の対象となる「ふるさと納税」の返礼品に選ぶのもおすすめです。 ふるさと納税の仕組みを使って控除限度額の範囲内で寄付を行えば、実質負担額2,000円で高級羽毛布団を返礼品として受け取ることが可能です。 日本でトップクラスの質と量を誇る山梨県都留市では、グースダウンを使った高品質な羽毛布団を返礼品として数多くご用意していますので、ぜひご活用ください。 ▼都留市ふるさと納税特設サイトのイメージ 食品以外の返礼品にチャレンジしたい方、控除上限額が高めの方などはぜひラインナップだけでもご覧ください。 |
まとめ
本記事では「グースダウンとは何か」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
▼グースダウンとは
・グース(goose)とは「ガチョウ」のこと ・ダウンとは「水鳥の胸元に生えている球状の綿毛」のこと |
▼グースダウンとダックダウンの違い
①水鳥の体の大きさ(グースの方が1.5倍~2倍大きい) |
▼グースダウンの方が品質が高く価格も高い
・グースダウンを使うと「軽いのに温かい」羽毛布団を作れる |
▼グースダウンの方が品質が高く価格も高い
①グースの産地(どの国で育った水鳥か):ポーランドやハンガリーがおすすめ |
「せっかくなら良い羽毛布団を使いたい」という方は、ダックではなくグースダウンの羽毛布団を選んでみてください。
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